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ちーちーの最期 ネコを埋めた場所

仕事帰りの7時過ぎ、電車を待っていると、嫁からの電話が。
「ちーちー、もうダメみたい」
ちーちーとは飼っている猫です。ハチワレの半黒・半白模様(雑種)で、このとき9歳くらいでした。

家につくと、猫は憔悴しきってうずくまっています。
今朝は、ソファからテレビに乗り移ろうとして失敗していました。いつもは軽々とこなしていたのに。それでもまだ動けていました。

明日は2人そろって休みなので病院に連れて行こうと話をしていました。
けれどあっという間に病状が進行したようです。素人目にももう死期が迫っていることがわかりました。

嫁は泣いています。私も呆然としてなにをすればいいのかわからず。
とりあえず動物病院を検索すると、荻窪の方に夜の急患を受け付けてくれるところがあるらしい。電話で事情を説明すると診てくれるとのこと。

夜の動物病院へ

かごに入れて外に出ました。神経質なちーちーは、普段はかごに入るのをものすごく嫌がるのですが、ぐったりして何の抵抗もしません。
そのまま街道に出てタクシーを拾い、すみません猫がいます、とかごを見せて住所を伝えます。病院に行くと言うと、自分も猫を飼っているという運転手さんは近道を選び、できるだけスピードを出して走ってくれました。

ちーちーは、いつもは車に乗せたりするとパニックになったようになき出すのに、このときはまったく静かです。

尿路結石

いつからかトイレ砂に血が混じるようになりました。そのうちトイレではなく部屋の隅で用を足すようになりました。猫の尿はひどく臭います。それでも猫の本能に従ったのか、部屋の隅にあった段ボール箱の中に潜って用を足すようになりました。
痛そうににゃーにゃ―なくので、病院に連れて行こうという話をしていました。

病院でかごから出すと、虫の息です。病院でも手の施しようがなく、一生懸命蘇生を試みてくれましたが、20分ほどで死にました。

病気の名前は尿路結石でした。帰りは荻窪の病院から阿佐ヶ谷の自宅まで、善福寺川の緑地に沿って歩きました。
嫁は猫を抱き、ずっと泣きながら歩いていました。

あらゆるものは生まれて消える

亡骸は、ちょうどいい大きさだったのでアマゾンの小さな箱の中に入れました。
翌日の夜、近くに埋めに行きました。

いまネットを見ると、死んだペットの処理については、あーでもないこーでもないと業者が書き散らした情報がいくらでも出てきますが、20年近く前の話です。猫と嫁と私だけの問題です。

ちーちーがトイレにしていた段ボールには、亡くなった祖母と私が学生の頃に文通した手紙がまとめて入っていました。中を探ると、尿でぐちゃぐちゃで、ほぼ判読不能になっていたので、捨てました。
形あるものはすべて崩れる…諸行無常です。思い出は記憶の中だけで十分なのかもしれません。

でもいまでもたまに、ちーちーを埋めた場所の付近を散策しにでかけます。


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