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湯治場で”滞在する時間”をつくること〜湯治ワーケーションをつくった

|湯治場でむかしは何してた?

湯治とは、古来からの心身養生法でした。
その歴史については、以前このnoteで書きました↓

私が考える現代の湯治とは
「自分のからだとこころを見つめ直す時間」です。

穏やかなときを過ごし、自分って一体なんだろう、自分が得意なことってなんだろう、弱みはなんだろう、そしてそれを把握した上で、どうしていけばいいのかを、温泉のなかでちゃぽちゃぽしていると、浮かんでくるように思っています。

だって、温泉に浸かっていると、
見つめるものは、自分の裸の身体と心しかないからです。

かつて湯治場では、そうして心身を癒すために長逗留してきました。
ひとところに、長く滞在する。そしてゆっくり疲れを手離していく。
元来の自分が持つ力を、温泉・気候・空気・環境・・・自然のチカラで戻してあげる。これが湯治です。

長く滞在していると、
その宿のことを熟知し、宿のひと、地域の人と仲良くなってゆく。
おかずの交換をしたり、繕い物をしたり、
できあがった繕い物をあげたりもらったり、
たまたま温泉でご一緒、あらまたご一緒、あらまたですね、といったことから
身の上話にもなっていったりする…

朝市が路上に並び、新鮮な野菜を買い求め、
髪を整えにいったり、そろそろ肌着を新調しようかと買い出しに出かけたり、お酒を買ったりしたでしょう。
昭和初期に発行された鉄輪の地図には
所狭しと、床屋・肌着屋・土産屋・食堂など
「暮らす」ための商店が並んでいました。

|かつての湯治滞在に習うべきこと

MUST SEE・MUST VISIT・MUST BUYな場所やものが沢山あって、普段と違う刺激も大切なので、新しいものをたくさん見たい・食べたことのないものをたくさん食べたい。それも分かります。これが現在の観光のスタンダードでしょう。

でも、いまの観光旅行は、せわしすぎる。私はそう思っています。
何かと疲れた身体や心を、また、一層、疲れさせてしまう。

たまには、湯治場へ来て、なにもしないこと、自分に余白を与えてあげること、温泉にただ浸かり、ため息を湯けむりの中に溶かしてしまうような過ごし方もよくありませんか?

|湯治とワーケーション

都会で仕事を持っていた自分は、都会でバリバリ働いて、地方の温泉(特に湯治場)へと心身を休めに行くようになっていました。

都会の喧騒と刺激も毎日受けていたら、疲れてしまう。頑張ってる自分も好き。でも、一度立ち止まって、自分のねじを締めたり緩めたりしないと、きしみそうだった。私はロボットじゃない。生身の人間だ。

かねてからそんな過ごし方をしてきたので、湯治場に仕事を持っていくこともたまにありました。特に締め切りもなければ、湯治場は、改めてTO DO LISTをまとめたりする時間としても最適でした。

読みたかった本を鞄に詰めてただひたすらに読んだり、
近くのなんてことない畦道を散歩したり、
鳥が鳴いたり、猫がごろんとしてるのを見たり、
地域の人たちにいつも行くごはんやさんを聞いてみたり
小さなスーパーを覗いてみたり。

散歩の後に温泉。
読書の後に温泉。
ごはんの前に温泉。

頭と身体が温泉のおかげでしゃっきりする。だから気持ちいいんだろうな・・・。

そして温泉は意外と疲れるもの。
湯あたり、という言葉もあるくらい
自然のパンチを食らったりもする。
KOされて、ぐるぐる巡ってた頭も強制終了させられて、
早めにぐっすり眠ると
翌朝、爽快に起きられたりして、
わぁ、めちゃ寝れたぁぁ、なんてことも。

そう思っていたので、温泉地や湯治場で仕事をするその行為を「ノマド湯治」「リモートワーク湯治」と、ワーケーションが流行する前から実行していました。

ワーケーション(ワーク+バケーション)という言葉が国が言い始めた時、これって私やってきたことやな〜と感じました。

そこで思い出すのが、リピートする湯治場や温泉地って、おもしろい人が介在してくれたことに尽きたのです。

冬に訪れたある温泉で、宿のあるじが言いました。
「ここは、春になったら桜と菜の花が満開で、それを見ながら入る温泉は格別なんだよ〜」

春に訪れると、同じ宿のあるじは言いました。
「夏はね、この土間で酒をみんなで飲むんだ。家族も来るし、親戚も来るし、楽しいよ。そしてみんなで輪になってさ、酔っ払って歌うんだよね〜、それが楽しくて楽しくてさ。」

こうして私は、その宿に何度かリピートすることになるのですが、そのたびごとにそのエリアの友達や家族みたいな存在が増えていきました。

いつしかおかえり〜なんて言われていて、くすぐったかったり、東京でがんばってきてよかったな〜、ここがあるもんねー!って思えるくらい、なんともいえない心の栄養をたんまりともらっていました。温泉は、ひとつの引き出しにしか過ぎないのかもしれない。

湯治場はそうした場所であり、何度も毎年リピートして、関係構築をし、滞在中に自分の身体も心もを回顧したり、反芻したりして、整え直していくところ。おかえり・ただいま、と言い合えて、ここにいない間もがんばっていられる。ほとほと疲れたら、ここがある。そしてここにいる人も、変わらずがんばっている。私だけが頑張ったり辛かったりしているわけじゃない。

|それを提供したい。温泉と、関係を作ることができるひとを。

このとき、「カンコーじゃなくて、カンケーだ」と私のテーマが決まりました。観光旅行じゃなくて、これからは関係旅行だな。関係旅行は、観光旅行をより面白くする。そう直感しました。

鉄輪には、めちゃくちゃ面白い人が沢山いて、どうしてこんなに集まってくるのか、わからないほど。湯治場、ならぬ、湯磁場と言いたくなるくらいのマグネットが、私たちの意思とは関係なく、働いている。そんな場所なのです。みんな温泉のおかげで、素直になれるからかな?

そして、こんこんと湧いている鉄輪の温泉は、弱酸性の塩化物泉で、肌に優しく、なめらかで、ぽかぽか保湿・保温してくれる温泉で、入っていると、私の感覚では「そっとぎゅっと抱きしめられている」感覚になります。これは他のどこの温泉よりもなぜか優しくてさりげなくて、主張がないわけじゃなくて、なのに、いつもありがと、温泉ちゃんに抱きしめられてばっかりだね、って言いたくなるくらいの温泉です。

どこかで、違う世界で、がんばっている人こそ抱きしめられてほしい。
誰にでも平等で、あったかくて、潤っている。

だからこそ、鉄輪で湯治ワーケーションするのは最適だな!とぴーんと来ました。おもしろい地域プレイヤーと、どこかで違う世界でがんばっている人を整えてあげられるのかな?と相談してワーケーションプログラムを作りました。

気になった方は、ぜひお問い合わせください。

鉄輪で実施できるワーケーションプログラムを2種類、ご用意しています。
詳細はこちらのスライドをご覧いただければと思います。

鉄輪で会いましょう!

鉄輪での湯治ワーケーションレポートはこちら↓

●「心身リトリートキャンプ」

●企業参加型の湯治ワーケーション実証実験 with BIGLOBE



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