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原子力災害伝承館で小学生の作文を見て、ゾクッとした話

先日、大学のプロジェクトで福島県浪江町へ。

町のこと、原発、東日本大震災のことを学ぶために東日本大震災・原子力災害伝承館へ足を運びました。

2011年3月11日当時の津波や避難の様子
を写した映像、被害にあった町民のインタビュー映像。津波に流されボロボロになった郵便ポスト等の展示物。

様々なものが展示されていました。
何度か浪江町には通っていますが、今回ようやく、その大変さを身に染みて感じた気がします。


その中で私が一番印象に残ったのは
「小学生の作文」です。

東日本大震災が起きる前の平成18年に書かれた「原子力を考える日」の体験学習記録集が展示されていました。小学6年生の作文を二つ読むことができたのですが次のような記述がありました。

「原子力発電所ができたことによって、貧しい生活から豊かな生活へ地域が変わってきた。原子力発電所があることで、新しくキレイな施設ができて、わたしたちがそれを利用できていることがわかりました」。

「昔は冬には東京へ出稼ぎに行っていたのに発電所をつくったおかげで人口がふえて、車も買えるような大金持ちも現れて来たのですごいです」。

また、当時の浪江中学校では、習字の課題で「原子力の利用」と書くほど、身近なものであったとか、「原子力ポスターコンクール」のポスターが展示されていました。

賞をとった高校生の「ポスターで伝えたいこと」のコメントには

「原子力はクリーンなエネルギー」
「原子力の活動と普及を願い・・・」とありました。

東日本大震災から10年経った今この作文を目にすると少し違和感がありますよね。


確かに、原子力発電所を通して生活が豊かになったのは事実ですが、そのリスクなどが教育の場で伝えられていないように思いました。

自分が小学生の頃を思い返すと、先生や大人の言うことはまず疑わないし、言われた通りに、素直に受け止めていたような気がします。

そんな純粋無垢な時に、いい話ばっかされたらそりゃ信じる。

教育の凄さと、怖さを感じて私は
かなりゾクッとしました。

これらの作文やポスターを書いた子ども達は、
東日本大震災の時何を思ったんでしょうか。

もし自分がその立場だったら、
なんか教育や大人の言うことを信じられなくなっちゃいそうな気がする。


この写真の奥で光っているのは
福島第一原子力発電所です。


案内の方の説明によると、
2~3㎞先にあるそうです。

事実、エネルギーをうみだすことで町の産業になったり、CO2の排出量は少ないというメリットはあります。

しかし、この悲惨な現状をみると
事故が起きた際のデメリットは凄まじいです。

被災を経験した語り部さんのお話も聞いたのですが、語り部さんは「原発被害は目に見えない」から厄介だと言っていました。

放射線、コミニティの崩壊、
思い出での損失・・・

思い出の詰まった家を解体するのも、自分で判断しなきゃいけなくて心苦しい気持ちになったそうです。

また国から補助金がでること良いことに「お金がもらえていいじゃん」とネットなどでは言われたこともあるみたいです。

語り部さんは当時のことを思い出し「お金で人生を取り戻せますか?」と怒りが混じり、悲しそうな声色で言い放っていました。


そして、今回の原発関連の事故を「人災」と
自然災害はどうにもならないけど人災だから防げるんだ」と。


当時の被災者の方の全員は、避難する際に「すぐ家に戻れる」と考えていて、避難に必死で荷物も大して持ち運んでなかったようです。

そして原子力発電所のことも「安心だから」と刷り込まれていたような節もあったそうです。

危ない予兆はあったけど
安全神話(根拠もないのに安全だと信じている状態)の状態にあったと当時を振り返っていました。


だからこそ「人災」という言葉をつかわれたのでしょうね。



安全神話の話や、受けた教育をすべて信じ込むのではなく疑い、自分で調べることの大切さを改めて確認することができました。

原子力発電所についてですが、自分が思っていた以上に複雑な問題が絡み合っていて難しい問題だということがわかりました。

私は原発がダメなものだとか、良いものだとか考えられる程の知識も経験もありませんが、事実として、語り部さんの想いや当時の状況にあったことを知れたのは良かったと思います。

浪江町も、まだまだ復興しきったとは言えませんが、私が初めて訪ねた3年前に比べると、どんどん建物が増えていっていますし少しずつ着実に復興していってると思います。

その象徴として道の駅なみえがある挙げられます。


地元のお土産や美味しいもの、お酒の試飲なども出来ますし、ポケモンのラッキーとコラボした公園まで併設されていた、楽しいところですよ!

皆さんも、機会があれば
是非行ってみてくださいね!




それでは、最後まで読んで頂きありがとうございました✨















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