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映画「プール」

 映画「プール」を見た。
公開された当時、映画館に見に行って、いい映画だったという記憶だけあってずっと見ていなかったのを10数年ぶりにもう一度見た。
やはり、好きな映画だった。

 やっぱり猫が好き、から脈々と受け継がれるキャスティング、小林聡美さんともたいまさこさんが出演されています。
この2人が出ている映画は大体好きです。

 個人的に、さとみ界のぶっちぎり1位は小林さんです。
あのひょうひょうとした感じ、多くを語らない感じ、素朴な美しさがとても好きです。
2位は石原さんですね。3位は浩太朗さんかな、あとのさとみさんの事はあまり知りませんが。
そして、私のミューズ、不動のファッションリーダーはもたいまさこさん。
大好きです。あのオリジナルな佇まい、雰囲気。
もたいさんに憧れて、オールバックにしました。(ただ前髪が伸びただけ、ともいえる)

 ドラマのすいか も好きだったし、かもめ食堂、めがね、マザーウォーター、トイレット。
荻上作品や、その制作陣による作品たちの関係性についてはあまり詳しくないのですが、今回のプールも、当初はかもめ食堂やめがねの流れで見て、見た後に監督が違うことを知りました。
かもめやめがねとはまた違った空気の作品で、私はこちらもとても好きです。

 まず、タイの風景が美しい。
冒頭から、異国の空気が画面から伝わってきて旅に出たくなった。
今の状況下では叶わないけれど、これまで旅してきた国の風景が思わず心に蘇る。

 終始、漂う空気にとても癒されます。
画面を通して見る風景は、タイなのにどこか晴れの乾いた匂いがするような、微かな風まで感じるような、気持ちの良い作品でした。
そして、登場人物たちの距離感も心地よい。
ひとりひとりゆるく過ごしているようで決して孤独でなく、さりげない気遣いに満ちている。
お互いを思いやりながら、でも決して踏み込まないやさしさのかたち。
誰しも大なり小なり抱えているものは当然あるわけで、それを無理に共有しようとしない関係性がいいと思った。

 とにかく画が美しいので、癒しの動画みたいにボケーっと見るのもいいし
登場人物の心の機微に思いを巡らせながら、真剣に見るのもいい。
何も起こらない系の映画が好きです。
刺激の強すぎるものはあまり得意ではないので、こういう余白のある映画は見ていてとっても癒されます。
(何も起こらない系の映画といえば、パターソンも好きです。)


 ストーリーらしきものもあまりなくて、序盤で張り詰めた空気をまとっていた伽奈さん演じるさよが、異国の地とコミュニティーの人たちの心地よい距離感の中で少しずつゆるんでいく様子が描かれている感じ。
その心の動きが、見ている私の心ともリンクしていくような感覚でした。


 小林聡美さん演じる母親は、気ままで、勝手で、現実にいたら、もし自分の母親だったら到底理解はできないけれど、自由を体現する存在としてある種のファンタジーのような描かれ方をしています。
何にも、血のつながりさえにも縛られなくていいよ
自分の心の行きたい方に進めばいいよ、というシンプルなスタンスは、
あれをしなきゃ、こうしなきゃとついつい
凝り固まってしまいがちな日常から解放する手助けをしてくれているよう。

 見終わったあとも、風に揺られるプールの水面と、心地よく”だんだん長くなっていく”と歌う声が爽やかな余韻を残してくれます。

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 この映画を見たのはずいぶん前だけど、大きなスクリーンで見ると、より画の美しさを感じられて癒されたのを思い出した。
そして、見終わったあとたまらずタイ料理を食べに行ったことも。
そうしたいと心が言ったから!
心の欲求に即座に従うのはとっても気持ちが良くて、その体験も含めて、私はこの映画が好きです。
映画って誰といつ見たかによっても思い出の補正がかかりますね。

 映画を見た帰り、京都の夏の夕方は東南アジアのようで、
べたべたっと湿った空気にスパイスの効いた異国のごはんは、すぐぬるくなるビールととてもよく似合った。
 外国に来たような気持ちでその夜を過ごしたこと、その時初めて食べた青パパイヤのサラダが、すごーく辛くてヒィヒィ言いながら食べたことを思い出した。

 あの、映画の中で小林聡美さんが作ってたタイの揚げ物がめっちゃ美味しそうだった。
いつかチェンマイに行ってみたいな。
しばらく難しそうだけど、その前にまずはタイ料理屋さんにごはんを食べに行きたい。
しばらくは家でごはんを食べる予定なので、とりあえずナンプラーを入手しました。
パクチーを買わなくちゃ。

おしまい。


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