二人目
その店は、まるで魔法使いが薬草を調合するために設えたかの様な雰囲気を醸す。
「調子がいい。」
京都がどんな場所か問われた彼は、端的にそう答えた。
「場所と人の関係ってさ、三つあるやろ。"行きたい場所"、"居たい場所"、"帰りたい場所"。京都は"居たい場所"やな、全てにおいて。」
この人はとても鋭い。
思考と信念ゆえのブレなさ、動じなさが、妙に心地良い安心感を醸す。
もちろん100kg超の体格によるところもあるだろう。
「ずっと。」
仕事で楽しい時はいつかを尋ねると、間髪入れずにそう答えた。
「遊びだもん、だって。それもどうかと思うけどな。」
そう言って笑う彼だが、彼が楽しんでいるからこそこの場所が賑わうのかもしれない。
「遊びと仕事に境目がないから。ないっていうか、遊びやけど仕事やし、仕事やけど遊びっていう感覚。」
"答えは風に吹かれもするが、バーの中にあったりもする。"
今夜の答えがここで見つかったかどうかは、帰り途で考えるとしようと思う。
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