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答えは1つではない、メンテナンスの「最適解」を追い求めて

押部 泰佑┃Taisuke Oshibe
2018年4月東北電力入社。2024年6月まで、東新潟火力発電所のコンバインド技術グループにて、排熱回収ボイラーの保守・メンテナンス業務を担当。
学生時代は機械工学を専攻し、力学や流体など、専門性の高い分野を追究。
行き詰ったときは、米沢藩主・上杉鷹山の言葉「為せば成る、為さねば成らぬ、何事も、成らぬは人の為さぬなりけり」を心の支えに勉学に励んだ


巨大な発電プラント、的確なメンテナンスで安定運転を支える

―発電所を訪れてみると、その大きさに圧倒されます。
東新潟火力発電所は1号機から4号系列まであり、総出力は416万kW。国内有数の火力発電所です。3号系列と4号系列では、ガスタービンと蒸気タービンを組み合わせた高効率のコンバインドサイクル発電設備を導入しており、私は主に3号系列のボイラーのメンテナンスを担当しています。

コンバインドサイクル発電の仕組み
ガスタービンと蒸気タービンの2つの力で、少ない燃料で効率よく発電できる

―入社した時からメンテナンスを担当しているのですか。
入社から2年半は1・2号機の運転業務を担当していました。運転業務は、安定発電を目指して設備を運転・監視する仕事なので、現在のメンテナンス業務とは全く違います。

メンテナンスの担当は4年目となりましたが、運転からメンテナンスに担当が変わったときは、1から覚えることも多く、最初の1年はあっという間でした…。東新潟火力のコンバインドサイクルの特徴なのですが、ガスタービン発電機が複数あるので、設備の数が当社の所有する他の火力発電所と比べて段違いに多いのです。電気が作られる流れから始まり、たくさんある設備や部品の役割を学んでいきました。実際に現場に出て徐々に覚えていったのですが、上司や先輩には、頭の中に発電所設備の図面があるのでは?!と驚くような記憶力の方もいますね。

東新潟火力3号系列は3台のガスタービンに1台の蒸気タービンの構成が2つある
出力が大きくなる分設備も多くなる

―的確なメンテナンスが安定した発電を支えているのですね
そうですね。火力発電には電気の需要と供給のバランスを調整する役割も求められていて、太陽光などの再生可能エネルギーの導入拡大に伴い、必要なときに必要な量の電気を送る能力がこれまで以上に重要になってきました。
不具合が起きた時でも優先順位をつけて対応ができているのは、運転業務をとおして、基礎的な設備知識を学べた経験が活きているからだと思います。トラブルで発電が止まらないように、的確なメンテナンスを行っていきたいですね。

入社から火力一筋。2つのグループでの経験が自身の成長につながっていると実感する

複数のアプローチから「最適解」を見つける面白さ

―どのようなところに面白さを感じていますか。
設備のメンテナンスにはさまざまなアプローチがあります。
 
これまでと同じものに設備を取り換えるのも1つの方法ですが、運用性や将来性、経済性などを評価しながら、「違う方法でやってみよう」など、工夫できる。
答えが1つではない課題に対して、いろいろなアプローチを考える。このプロセスがとても面白いんです。

 
そして、一連の工事を無事に終えたときの達成感ですね。さまざまな関係者と事前に十分な調整を行っていますが、一方で、すべてが順調に進むとは限りません。問題が起こった時には上司や先輩と相談しながら解決していき、無事に終えられたときに達成感を感じます。もちろん大変ではあったのですけどね。
 
―メンテナンス業務も4年目ということで、思い出に残っていることは。
3年に1度、プラントでは大規模な分解点検を行います。多くの工事に対応するなかで仕事のスキルが上がっていたようで、突発的なトラブルが起きても、慌てずに対処できるようになっていました。
メンテナンスの担当になったときからずっと見守ってくれていた上司から「成長したな」と。
その言葉がとてもうれしかったですね。

尊敬する上司と

私は一人で考すぎてしまう性分でして・・・。メンテナンス業務を行い始めた頃は、解決方法を考えあぐねた挙句、業務を停滞させてしまった経験がありました。上司からは「一人で悩まないで、早めに相談してほしい」と。
仕事面では的確な指示を出してくれたり、親身に相談に乗ってくれたりして、非常に頼りがいのある方です。仕事以外の時は・・・雑談のなかで小ボケを挟んでくるような、面白い一面もあります(笑)

職場自体もコミュニケーションが取りやすい環境で、経験豊富な上司や先輩がたくさんいます。その都度アドバイスをもらいながら、悩むのではなく、考えながら業務を進められているのかなと思います。
 
―職場の雰囲気もよさそうですね。
そうですね。同世代も多くて、部活のような雰囲気かもしれませんね。
最近、男性の先輩が育休を取得したばかりなんです。職場の皆さんもフレックスタイムや時間休、育休制度を積極的に活用しているので働きやすいと思います。将来的には私も育休を取得したいと思っています。

より良いものを探求し、挑戦していく気概がある

―新しい技術の導入は、火力部門では進んでいるのでしょうか?
実は私が担当している3号系列は、今から約40年前に日本で初めて「事業用大容量コンバインドサイクル発電」を採用した発電設備でもあります。そして、同じ新潟県内にある上越火力発電所1号機は、2023年に世界最高の発電効率を達成しました。
より良いものを探求し、常に新しいものをどんどん取れ入れる。挑戦していく気概を感じています。
これまでの「生活を守る」から「生活を豊かに変える」。電気の枠に留まらないモノを提供できる会社にしていきたいですね。
私自身も、プライベートと仕事を両立しながら、まずはこの東新潟火力発電所でさまざまな経験を身につけ、火力発電所のスペシャリストとして他部門でも活躍できる人財になりたいです。

※本インタビューは2024年6月に行いました。


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