見出し画像

南三陸で面白いことが始まっている!

みなみさんりく【宮城県南三陸町】

南三陸町は、宮城県の北東部に位置する、三陸沿岸部に面した、英語のCの形をした町。 漁業が盛んで、代表的な海産物にはタコ、ワカメ、ホタテ、牡蠣、銀鮭などが挙がる。
 町のマスコットキャラクター、タコをモチーフにした「オクトパス君」は大人気。「置くとパスする」という語呂合わせから受験のお守りとして全国からの注文が殺到している。

南三陸を紹介してくれるのは、最近福島に就職が決まり、Iターン移住をした那須ちゃん。東京生まれ東京育ちの彼女ですが、その「地域love」精神の原点はここ南三陸なんだそう。


きっかけメンバー那須彩乃のありのままの東北旅

写真1

(大学1年生の時の私と“オクトパス君”)

皆さんこんにちは!きっかけ食堂東京メンバーの「なすちゃん」こと、那須彩乃です。
今回ご紹介させていただく南三陸町は私にとって大きく人生を変えてくれた大切な場所です。大学時代に10回以上訪れてきた南三陸町の、地元民がこぞって通うお店をこっそりお話させていただきます!

南三陸町って、どんな町?

写真2

(南三陸町の4地区の位置関係 障がい者制度改革推進会議 参考資料2 第37回(H24.1.23)より引用)

南三陸町は
歌津地区、志津川地区、入谷地区、戸倉地区と主に4つの地区に分かれています。
志津川地区には、町の代表的な観光地「さんさん商店街」があり、多くの観光客が訪れるエリアです。
そして「田束山」(たつがねざん)という四季折々に素晴らしい景色が見える山がある歌津地区。
戸倉地区は、「神割崎」という大きな2つの岩の割れ目から、海の激しいしぶきと限られた季節で見える日の出のきれいな場所があります。
そして一番内陸にある、農業が盛んなのが入谷地区です。

まずは歌津地区にある、ぜひ寄っていただきたい直売所をご紹介します!

震災直後、せめて町民が販売をできる場を

写真3

 歌津地区唯一の震災直後に始まった、産直市場、「みなさん館」。

 震災で津波の被害が大きかった歌津では、建物のほとんどが流されたことにより地元の方々の生産物を売る場所がなくなってしまったそう。
当時ボランティアとして町で活動をしていた「ボランティア東北ファミリア」の鈴木さんはそんな現状を目の当たりにした時、
この歌津地区で住民同士が売り買いできる場を設けたと同時に、震災直後に地元のお母さんたちが食堂を開き、地元の人やボランティアで町外から来る人達に美味しいご飯を提供した「歌津の食堂」を併設しました。それがここ「みなさん館」です。

写真4

店内には、日々地元の方たちが自分の作ったものが納められ、その日水揚げされた魚をいつも持ってこられる方も。大きな鮭が入った暁には、食堂で働いているお姉さま方も大興奮で鮭の周りに集まります。


ー歌津の食堂ー

写真5

 地元のお母さんたちが腕を振って、毎日絶品の料理をここで提供してくれます。毎朝、8時には全員がこの食堂に出勤し、まずは建設工事等の従業員の方達から発注される50個以上のお弁当をパパっと作っていきます。

写真6

時には100個以上の発注も来るそう。

 お弁当の一品となっている、お母さんの手作り卵焼きは本当に美味しいんです。

写真7

これはぜひ一度食べてみてほしい…白身が全て真ん中に詰まっている、完璧な卵焼きです。

写真8

そして、食堂のランチ営業に向けて準備が始まります。
すると、いつも漁師さんがみなさん館に当日の朝獲れたての魚を納めにきます。その魚は当日になるまで何が獲れるか分かりません!時に珍しい魚も獲れたりして、とても楽しいです。この新鮮な魚を使って、お母さんたちは腕を振います。


ーボランティアツアーで来る人達へ、最高のおもてなし!ー

写真9

(ボランティアツアーの参加者)

 ここは、みなさん館と歌津食堂の運営とともに、ボランティアの受け入れも行なっています。
 震災直後、この歌津地区に訪れたのは、「ボランティア東北ファミリア」代表の鈴木隆則さんです。
もともと東京でずっと働いていた鈴木さんは、自分にも何かできることはないかと、当時ひたすら様々なボランティア作業に足を運んだそうです。そんな時、ボランティアの人たちが寝泊りしたり移動する手段がないことを痛感します。そこでバス会社からバスを手配し、ボランティアが寝泊りできる場所を作り、ボランティアの受け入れ体制を作りました。これが「ボランティア東北ファミリア」の始まりです。


 それから10年、鈴木さんはこの歌津地区へ移住をし、年間5000人ほどの受け入れを行ないました。その中で、ボランティアに来た人たちに言うのは、

“まずこの町にボランティアに来てくれたことが何よりのボランティアなんだよ”。

そして来てくれた人達には、最大限のおもてなしをする、と鈴木さんは言います。

これには、震災を受けたという暗いイメージだけの町にするのではなく、この町の美味しい海産物やご飯、魅力を知ってもらって、この町の良い所を知ってもらうことで、“また来よう”と思ってもらいたいからこそだそうです

写真10

写真11

地元の漁師さんなどから、旬のものを仕入れて、来てくれた人たちに食べてもらう。
ここは歌津地区へのきっかけを生む窓口になっています。

「みなさん館」 (歌津地区)

次にご紹介するのは、地元の人がこぞって訪れる、隠れ家パン屋さん

「パン工房Oui」<入谷地区>

写真12


写真13.1

写真13.2

 南三陸町の内陸にある「入谷地区」には、町では珍しい小さなパン菓子工房があります。
2017年にこのパン菓子工房はオープンし、「特定非営利活動法人ウィメンズ・アイ」の栗林さんを中心に工房の建設が始まりました。
ウィメンズアイは“女性が自らをいかし、いきいきと活躍できる”をビジョンにかかげ、三陸沿岸部に災害ボランティアとして集まった有志メンバーで立ちあげた団体。そしてここ南三陸町を一つの拠点として、町内で様々な活動を女性が中心となって行なっています。ちなみに「Oui」を創業した栗林さんは震災後に南三陸町へ移住された方です。

写真13

ここに売られるパンは、全て手作りで作られた美味しいパンが並びます。

写真14

Ouiでは、町内で生産された食材を使って、パンが作られています。

 “カボチャ大納言”は、2020年10月に伺った時にあった、Ouiの新作パン。季節の旬の食材のカボチャがたっぷり使われ、カボチャ本来の甘さがしっかりと出たとてもヘルシーな一品です。

写真15

このパンに使われるカボチャを提供するのは、南三陸町で農家をしている大沼農園の大沼ほのかさん。筆者と同い年の南三陸町出身のとてもエネルギッシュな方です!
入谷地区の農家さんへインターンしたのをきっかけに、農業の面白さに惹かれ、現在は農業もしながらクレープの移動販売も行なっています。
 彼女は、「これからもっと同世代に農業の面白さを伝えていきたい」と言います。
 南三陸町には彼女の他にも、農業への想いがとても強い農家さんが多くいて、そんな農家さんの食材がOuiと美味しいパンを作り上げています。


自然の中で、作られる

写真16

 「パンは生き物だから、季節によって発酵や生地の具合など全然変わるし、生産者の人から毎年この時期は何ができるのかを知れるし分かってくる」
 入谷地区で過ごすからこそ、自然と共生していると感じるし、四季折々に魅せる町の良さがわかる、と栗林さんは言います。

「東京で過ごしていた時よりも人間らしく生きている感覚があり、自然の中で生かされていると感じる。だから毎年全く同じ自然や景色、農産物の食材になることはなく、それが当たり前。それがすごくいいな、と思う」と話していました。

 入谷地区には、代々昔から町の人が共に共生してきた自然がそこに残っています。これは時代と共に変化し続け、今も南三陸町で様々な顔を見せながら、町民を楽しませています。
 そして入谷地区の自然と一緒に時を過ごしながら、自然から得られる食材で使られたOuiのパン。南三陸町の自然と人の想いが詰まった、あたたかいごちそうパン!

 筆者のオススメは、しおパンです!
ぜひ、あなたも一度、Ouiのパンを味わってみては?

「パン工房Oui」<入谷地区>


南三陸ワインと名産タコを使ったタコ焼き屋

写真17

 今年10月に南三陸町でオープンしたばかりの、タコ焼きとワインのお店。
 南三陸ではタコの水揚げ量が多いことで有名で、タコを使った料理と言えば誰しもが知っている「タコ焼き」。
 でも、町にはたこ焼き屋さんがあまりなく、タコを発信する場があまりないのが現状です。
 そこで、以前の飲食店で働いていた経験も活かし、この町に夜も楽しめる居酒屋レストランを作ろうと動いたのが、地域おこし協力隊の井原さん。

写真18

 南三陸町といえば、さんさん商店街。観光客はこぞってまずはここに来るといっても過言ではありません。ですが、南三陸町には実はここ以外にも町民に親しまれるお店が多く存在しており、実は町民の方々の商店街利用は少ないんだそう。
 井原さんのお店は、商店街から車で数分の場所に一際鮮やかな青色の建物が一つ建っている所です。周りには特に飲食店もなく、あるのは町民の味方、薬王堂という大きなスーパーや生涯学習センターという図書館などがあります。
 ここに建てたのは、たまたま人の繋がりで紹介していただいた場所だったというのもあるのと、町民が家でも職場でもない第3の場所としてここを利用できるのもいいなと思ったからなのだそうです。なかなか普段は言いにくいようなことを、ここなら言えるという場所にもできたらいいな、と井原さんは語ります。

町民から親しまれる店になるように

写真19


オープンしてから多くの町の知り合いがここを訪れてくれていて、久しぶりに再会できた人もいた、と嬉しそうに話していました。
来た人たちは、タコ焼きを注文してすぐ、井原さんに話しかけ始めます。井原さんの作り出す空気感によって、親しみやすい空間になっています。

写真20

 南三陸町の飲食店と言えば、やはり海鮮を取り扱うお店がダントツで多く、お米もめちゃくちゃ美味い。よって町内ではお米を食べる機会がとても多いのだそう。
 そんな中、たまには他の物を食べたく時だってある。しかし南三陸町には小麦を使った飲食店が少ないため、パンの需要がとてもあるそうです。

 井原さん自身も、たまには粉ものの食べ物が食べたくなることから、「タコ焼きの需要は大きいんじゃないか」、と思ったそうです。
同時に、和食じゃない洋の食事は、この町にあまりない唯一無二であるために、どんな料理にも井原さん自身のオリジナルな要素が含まれた、普段なら味わわないテイストで「これは美味い」と誰しもが思う料理を提供することを心がけているそうです。
 ここに食べに来て、いつもとは違う時間のひとときを味わってほしい、と井原さんは語ります。

写真21

 夜の遅い時間まで営業をしているのも、この町では珍しい。
夜21時以降はほとんどのお店が閉まっている中、Octovinは23時まで営業しているので、夜遅くまで南三陸を満喫したい私にとっても、町民にとっても最高の場が町内にできました。
実は私、那須はOctvinへすでに3回ほど訪れています。最初井原さんのたこ焼きを知った時はこんなオシャレなたこ焼きがあるのか、と驚きを隠せなかったのですが、行けば行くほどハマっています。思わず「…美味しい!!!!」と毎度声が出てしまいます。そしてどのメニューも井原さんがこだわったオリジナルなので、ここでしか味わえません。
 ぜひ、東北に遊びに来た時は、夜にでも足を運んでみていただきたいオススメのお店の一つです。

Oct-VIN369<志津川地区>


最後に…

 私の第2の故郷、南三陸町の紹介はいかがでしたでしょうか?
 南三陸町には、さんさん商店街はもちろんのこと、それ以外にも地元の人のみぞ知る魅力的な場所がたくさんあります。行けば行くほど、次はここに行きたいと思ってしまう、そんな発掘しがいのある町です。
 今よりも、もっと自由に旅行ができるようになった日には、私の紹介した、観光客にはまだあまり知られていない南三陸オススメスポット、ぜひ行ってみてくださいね!!


この記事が参加している募集

この街がすき

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?