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なぜ管理者にはメンバーへのリスペクトが必要なのか?

最近、ライターの方からインタビューを受ける機会があり、

「あるべき管理職像について教えて頂けますでしょうか?」

という質問があり、自分の中で、これに関して言語化してみたので、書き留めておきます。

結論「管理者には、メンバーへのリスペクトが必要だ」という内容です。


組織デザインから考える管理職の役割

そもそも管理職はなぜ必要のか、組織デザインから考えた時、以下となります。

事前に予想された通りに実際の状況が推移すれば、事前に決められた標準化によって完全な調整を行うことも可能かもしれない。しかし、実際には不確実な事態が発生する。つまり、事前に予想して、対処法を決めておいたのではない例外事態が発生するのである。このような場合の事後的対処法・調整法として最も基本的なものは、ヒエラルキーである。例外事態を上司に報告して、上司が問題を形跡し、対処法を考える、という方法である。

「組織デザイン」沼上 幹 著 p.22

組織とは、「分業と調整」の仕組みです。
分業で対処しきれないイレギュラーな事態に対応するための調整機能としてヒエラルキー、すなわち管理職が存在します。

アウトプット・コントロールの補助

組織デザインにおける調整には、、上述したヒエラルキーの機能のほかにも、

標準化/環境マネジメント/スラック資源創出/情報技術への投資/水平関係の設置、があります。

組織デザイン 要約 ツリー図 
「【読書ノート】組織デザインの原理原則とは?(オススメ本「組織デザイン」の紹介)

管理職は、この中の標準化における
「アウトプットコントロール」
である目標に対する進捗確認のズレをなくしていくための、「フィードバック機能」を担っており、管理職の役割としては、この部分の比重が、イレギュラー対処よりも大きいのではないでしょうか。

管理職は、
メンバーと目標に対する進捗会議を行い、
目標に対する進捗の遅れがある際、
どのように遅れを取り戻していくか、
メンバーの考えを聴いた上で、
実行の約束をしていきます。

この約束(進捗会議)を定例で繰り返していくことで、目標と実績のズレを小さくし、かつ、メンバーの成果とチームの成果を整合していくことが管理職に求められます。

メンバーの自走を促すには?

自身の目標に対して、「遅れ」があった場合、
メンバーが、自分自身で「遅れ」を埋めるための【改善の打ち手】を考え、実行に移すことが出来ることが理想です。

目標を認識し、
目標に対する実績の進捗を確認し、
遅れがある場合は【改善の打ち手】を考え、
次の目標を設定した上で、
対策を実行する。

そして、あらためて次の目標を認識し、
目標に対する実績の進捗を確認し、
・・・

この一連の流れをメンバーが自分自身で回すことが出来れば、そのメンバーは目標に向かって自走することができます。

しかしながら、【改善の打ち手】を考え、実行に移すことが、メンバー単独では難しい場合もあるため、管理職がメンバーの壁打ち相手として、【改善の打ち手】をメンバーが考える上でのサポートを進捗会議においてしていきます。

メンバーの無能さを断罪する管理職

【改善の打ち手】を考える上で、やっかいなことは、
メンバーが抱える『言い訳』です。

「時間がなくて出来なかった。」

「他にもやることがあって出来なかった。」

「改善策がこれ以上考えられない。」

「コストがかかるので出来ない。」

目標に対する進捗の遅れがある際、誰しも、このような言い訳を持ってしまい、そこで思考が停止してしまうことがあります。

すると、
目標に対する遅れを取り戻すことが出来ず、
メンバー自身の成長の停滞を引き起こします。

この時、管理職とメンバーの会話で、

「なんでやってないの?先週言ったよね?」

「なんで時間が足りないの?他の人は同じ条件でもちゃんと出来ているのに。とにかく頑張るしかないでしょ!」

「どうして考えが出てこないの?もっと出てくるはずだよ!」

「なんで?そこを何とかするのが仕事でしょ。もっと頭使って!」

という言葉を管理職がメンバーに投げかけ、

感情的に「なんで?」とメンバーの至らなさ、無能さを露呈させ断罪してしまうことがあります。

これを管理職がメンバーに対してやってしまうと、メンバーは、「改善の打ち手」に目が向かわず、

「すみません(能力が足りないから…)」

で思考が停止してしまいます。

管理職はメンバーへのリスペクトが必要

管理職は、メンバーに対して、

メンバーは、能力があり、
現場の情報も自分より詳しい。
今は遅れているが、やればできるはず。
今は、迷っているだけ。

という姿勢で、メンバーのことをリスペクトすることが、会話の起点となることが必要です。

この起点があることで、

「これ、何か他に考えがあって出来なかったの?何か迷ってたの?」

「どの部分に時間がかかっているから時間が足りないと思う?」

「では、この項目・設定であれば出てきそう?」

「今の予算の範囲内でならどこまで出来る?」

このような質問をメンバーに投げかけ、メンバーの振り返りと改善の打ち手を考える補助線を引いてあげることが求めらえます。

これを繰り返していくことで、メンバーの成長を促し、自走できる状態にしていくこと。

そのためには、繰り返しになりますが、

メンバーは、能力があり、
現場の情報も自分より詳しい。
今は遅れているが、やればできるはず。
今は、迷っているだけ

という姿勢を持つこと、

管理職は、メンバーへのリスペクトが必要となります。

あるべき管理職像とは?

「あるべき管理職像」は、人によって様々だと思います。

個人的には、
「メンバーを成長させることが出来る管理職」
が、理想の管理職像であり、

チームとしての大きな目的を共有した上で、

「自分で目標設定し、その目標に向かって、自身のモチベートできる人」

に管理職自身も含めて、メンバー全員がなることが出来ることが理想だと考えています。

出来ない理由=言い訳
で思考停止してしまう時、
そこから一歩を踏み出していくサポートが出来ること、

そのためには、メンバーに対するリスペクトが必要なこと、

「あるべき管理職像」
を考えた時、こんなことが頭に思い浮かびました。


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