【読書ノート】他者と働く─「わかりあえなさ」から始める組織論
読んだ本の気になる部分を書き留めていきます。
今回採り上げる本は、『他者と働く─「わかりあえなさ」から始める組織論』著.宇田川元一です。
✅本を手に取ったきっかけ
HRアワード2020 書籍部門最優秀賞受賞と書籍の帯にありますが、至るところで、この本の話題を耳にすることがあり、手に取りました。
人と人との関係性について、大切なことが、丁寧に描かれている印象を頂いた本です。
組織論という観点で、関係の矛盾に向き合うことの大切さ、をこの本から得ました。
以下、書き留めた部分と読後の感想を記載していきます。
✅書き留めたところ① 適応課題と対話
「対話」を通じた「新たな関係性の構築」により、「適応課題」を乗り越えていくことが、この本の中で記載されています。
この考え方は、職場だけでなく、家族、友人との関係性についても役に立つ考え方ではないでしょうか。
この考え方を関係者全員が共有できていれば、関係性がより良いものになっていきそうです。
✅【読後メモ】組織構造上の問題について
この部分を読んでいて、感じたことは、
職場において「適応課題」と認識したことが、
実は組織構造上の「技術的問題」でもある
ということがあり得るのではないかという点でした。
例えば、
という暗黙のルールの職場で、
といった、問題があった時に、
これを
(前者)「適応課題」と捉えて対話をするのか、
(後者)「責任の所在が曖昧」という「技術的問題」として捉えて、
「ごみ捨て当番」「電話当番」を日替わりで設けて管理者が管理するのか、
どちらが望ましいかで言えば、後者の方が望ましいように感じます。
また、営業部門と新規事業部の間でコンフリクトがある場合、
両方の事業部を統括する事業本部長を設けて、
営業部門に、新規事業部門への協力を定量的な目標として設定する、
といった、
両部門に跨る責任者の設定と、営業部門と新規事業部門の目標の整合を図ることを前段として取り組む必要があると感じました。
職場における問題は、組織デザインと密接に関わるため、
・責任の所在
・公式なコミュニケーションライン
の2点を組織上の技術的問題として手を打った上で、
適応課題に対処する流れが必要ではないでしょうか。
また、
技術的問題か適応課題か、ではなく
技術的問題も適応課題も、対応する
取組が求められます。
✅書き留めたところ② 私とあなた、私とそれ
職場の場合、会社が順調な時には、「私とあなた」「私とそれ」の関係性の違いは表に出てくることは少ないですが、
会社が上手くいっていない時、「私とあなた」「私とそれ」の関係性の違いが表面化してきます。
「私とそれ」の関係性の場合、
会社が上手くいっていないと、
他人事のような「社内評論家」や「批判者」の増加、
組織内での足の引っ張り合い、
業績悪化理由の擦り付け合い
が発生します。
常に「私とあなた」の関係性ですと、組織の進むスピードが遅くなりますが、
物事が上手く進まない時、
まず、こちらが変わる。
という認識が共有されている「私とあなた」の関係性が出来ていることは、困難を乗り越えて、組織を継続していく上で必要な要素です。
✅書き留めたところ③ 溝に橋を架ける
「相手の立場で物事を見る」という言葉にすれば簡単なことですが、
実際に実行するとなると、自分に余裕がないと難しいことです。
自分が苦労してきた経験や、
映画や小説での他者の経験の疑似体験、
がないと、なかなか「溝に気づき」「橋を設計すること」が難しいのではないかと思いました。
✅【読後メモ】コミュニティをずらして想像する
相手が所属しているコミュニティをズラして想像することが、観察の切っ掛けを与えてくれるように感じます。
職場では関係性の問題を抱えている相手も、
家庭では、子育てや介護で頑張っていたりする。
それぞれの事情や立場があって、
それぞれ必死に頑張っている。
視点をズラすことができると、少し、相手への見方が変わり、溝に橋が架けられそうです。
✅【読後メモ】組織における矛盾と向き合う
組織が永続するためには、
組織の構成員は代替可能であることが求められます。
その人がいなければ組織は回らない
そのような状態に陥ってしまうと、
組織の継続は困難となります。
一方で、この本にあるように
代替不可能な存在として組織の構成員を認識することでしか、解決が難しい問題もあります。
このような組織における矛盾について、組織の構成員が同じように向き合いながら、仕事を進めることが出来ると素晴らしい職場になるかもしれません。
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