見出し画像

【読書ノート】「人生の勝算」/あなたは、何のために仕事をしていますか?

読んだ本の気になる部分を書き留めていきます。
今回採り上げる本は、『人生の勝算』著.前田裕二です。

本を手に取った切っ掛け

『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』著.三宅 香帆

を読んでいた際、この本が採り上げられていたため、手に取りました。

三宅さんの本を読んだ後なので、少し先入観があった中で、この本を手に取った形となりました。

相変わらずの雑文で、書き留めたところ、本を読んだ感想を記載します。

書き留めたところ① ヒーローズ・ジャーニー

『人生の勝算』は初期の段階で、「この本は売れる!」と確信していた。 それは下世話ながら、8歳の時に両親をなくし、生きるために路上で弾き語りをし、その原体験を生かしてSHOWROOMを立ち上げたという、漫画のようなあまりにドラマチックなストーリーを聞いたからだった。

「人生の勝算」 p.159

この本に書かれている前田さんの半生は、まさに、ヒーローズ・ジャーニーそのもので、ドラマチックなストーリーが展開されています。

ヒーローズ・ジャーニーとは、メディア「Life&Mind」を参照にさせて頂くと、

  1. 天命:ストリートミュージシャン

  2. 旅を始める:外資系金融機関での仕事

  3. 境界線を越える:知人の死を経験し、起業へ

  4. メンターとの出会い:南場さん、秋元さんとの出会い

  5. 悪魔が現れる:事業の躓き

  6. 変容する:自分のコンパスを信じて

  7. 課題完了:事業の発展

  8. 帰還:これから?

このような流れになります。

この流れ故に、人生における主人公感を強く感じる、魅力的なストーリーとなっています。


書き留めたところ② 少年ジャンプ感

この本を通じて伝えたいことは、大きく三つです。絆の大切さ、努力の大切さ、そして、人生という壮大な航海において「コンパス」を持つことの大切さ、です。

「人生の勝算」 p.8

週刊少年ジャンプの編集キーワードと言えば、

「友情」「努力」「勝利」

ですが、上記ヒーローズ・ジャーニーと合わせて、

コンパス=人生の勝算

が語られることで、主人公感に更に照度が増し、

「眩しい」

と感じるとともに、応援したくなる、ストーリーとなっています。

書き留めたところ③ 何のために仕事をしていますか?

仮に自分が生きるこの世界Aとは別のパラレルワールドBが存在するとして、自分の存在によって、AとBの世界の景色を変えたい。そのためには、自分で事業を立ち上げることが一番の近道だと思いました。

「人生の勝算」 p.107

この部分、今回の本を読んで、最も私の印象に残った部分です。

私は、組織コンサルタントとしての仕事上、お客様に対して、初めに、いくつか質問をさせて頂きます。


その質問の一つに

「なんのために仕事をしていますか?」

という質問があります。

この質問に対して、この本に書かれている内容と似た答え

自分が存在している世界と自分が存在していない世界に差分を作るため

をされた方が今までにいました。

「なんのために仕事をしていますか?」

の質問に対して、

・生活のため
・食べていくため
・家族のため

という仕事から得られる対価を踏まえた回答が最も多いです。

次に、

・自己実現のため
・自己成長のため
・周りの人を幸せにするため

といった仕事を通じての自身の在り方を踏まえた回答があります。

更に先があるとすれば、今回のケース、

・世界に差分を作る

という答えが、まれに、出てきます。

差分とは意味です。

私の勝手な解釈ですが、

この答えが出る人は、

この世界で自己同一出来る範囲が広い、
すなわち、
この世界でコントロール可能だと認識する範囲が広い、
クリエイティブ思考が強い人

だと思われます。

クリエイティブ思考とは、
単なる未来思考ではなく、
現在から見て、過去を意味づけし、
未来を描くことではないでしょうか。

内省によって自身の過去を振り返り、
過去を現在から見て意味づけしているから、
自分がいた世界と
自分がいない世界に、
差分を捉えることが出来、
その延長線上に未来を描くことが出来る。

この本が、
少年ジャンプ感溢れる
ヒーローズ・ジャーニーなのは、
前田さんのこれまでの経験は勿論ですが、

前田さんの現在地点から見た
前田さん自身の過去の意味づけが、
ヒーローズ・ジャーニーを作り上げていて、
このストーリーの上で、
未来の前田さんが、展開していると、

読んでいて感じました。

読後メモと過去の自分の関連note記事

この本を手にしたきっかけは、書籍

『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』

と、この本の中で紹介されていた映画、

『花束みたいな恋をした』

で採り上げられていたことです。

この2つの作品の中で、この書籍「人生の勝算」は、どちらかというとネガティブな文脈で認識されていました。

自分なりの解釈で言えば、『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』の中で、「人生の勝算」を代表する考えを、

勉強して、
いい学校を卒業して、
いい会社に入って、
家庭を作って、
会社で必死に働いて、
定年退職後は年金で悠々自適な生活

若いうちの苦労は買ってでもしろ、
未来で成功したければ、


のような世間で言う「人生の意味付け」
いわゆる「ヒーローズ・ジャーニー」って、
今の時代、燃え尽きを起こすよね・・・

もう少し、違った意味付け、
すなわち、スローダウンしたした考え方も必要じゃない。

というように、

『これまでの俗に言うヒーローズ・ジャーニーから脱却して、もっと多面的に個人のストーリーを捉えることも必要では?』

と主張しているように感じました。


このあたりの主張の違いは、
前田さんが代表の会社が運営されている、アイドルやタレントを軸にした「SHOWROOM」的な価値観

誰もが創作をはじめられるようにという
「note」や「stand FM」的な価値観

の違いとも捉えられ、非常に興味深いです。


どちらの価値観が正しいということではないです。

ただ、
「なんのために仕事をしていますか?」
の質問から見える、

現在から過去を意味付け、未来を描く

ことが、今の時代、難しくなっていることを感じます。


だから、

無理に意味付けして苦しむより、
今の自分の関心事に目を向けて、

ある時、ふと振り返った時、
その人にとっての関心事の点と点がつながり、
その人なりの物語として、
意味付けが出来ていればいい、

このような価値観が広がっているように、
あらためてこの本を読んで感じました。

この記事が参加している募集

#読書感想文

190,263件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?