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対面議論の価値を見つめ直す

電子光理学研究センターの時安です。
本日は、学術研究における対面議論の重要性についてお話ししたいと思います。

東北大学若手アンサンブルプロジェクトは、東北大学の若手研究者同士のつながりを深めることを目的に活動しています。コロナ禍の前から始まったこのプロジェクトは、多くの学際研究の成果を生み出してきました。
コロナ禍で対面での議論が減る中、オンラインやハイブリッドでワークショップや審査会を開催して活動を続けてきました。この2年間を振り返って、やはり対面での議論の重要性を実感しています。

オンラインの長所・短所については、一般社会でも議論がありますが、学問の分野では以下のような特徴があると感じています。
【メリット】
・場所を選ばないため、打ち合わせの回数が増える。
・小さい字の資料でも拡大などを通してみやすい場合がある。
・録画が許されれば、後で議論を見直すことができる。
・海外に行かなくても海外在住研究者との議論ができる。(時差の問題はありますが。)
【デメリット】
・話が一方通行になりやすい。
・議論が食い違いになることもあるため、突っ込んだことは言いにくい。
・ハイブリッドの場合は、オンライン側が置いてけぼりになりやすい。
・裏で作業をしながらのながら会議になりやすい。

個人的には、報告にはオンラインが向いているものの、議論や対話には向かないと感じています。
学問の分野は、議論と対話で成り立ってきました。ソクラテスが対話で思索を深めてきたのがその例です。激しい議論が時にはケンカのようになることもありますが、そこから新しい発見が生まれることがあります。また、その場では何も生まないにしても、若手研究者が先輩たちの熱心な議論を見て、自分の研究の道筋を決めたり、素晴らしい成果を導き出すことがあります。
私自身も、J-PARCという大きな加速器施設の建設時に、先輩研究者たちが熱心に議論する姿を見て、自分もここで働きたい!と思った経験があります。オンラインには良いところもたくさんありますが、やはり対面での議論は重要だと考えます。

今後は我々アンサンブルプロジェクトでも対面でのイベントを企画していく予定です。対面での学術交流は、研究者同士の親密さや理解を深めることに繋がります。オンラインでの議論も大切ですが、対面での議論のパワーを忘れてはいけません。私の師匠からいただいた言葉に「学問は人が作るものだ。」というものがあります。最近になって、この言葉の重要性を再認識しております。
東北大学若手アンサンブルプロジェクトでは、これからも若手研究者同士が集まり、対面での議論やオンラインでの交流を通じて、新たな学際研究やアイデアを生み出していくことを目指しています。
ぜひ、我々の活動にご賛同いただき、今後のイベントにご参加いただければと思います。あなたも新しい発見や刺激を得られるかもしれません。

(東北大学電子光理学研究センター・時安)


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