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三角柱

ヒトの心情は、光の多寡による。
烏が啼くのは夕方で、その時の太陽は怒号を放ちながら姿を隠す。
新幹線の車輪に囚われた僕の感性は、道の駅に捨てられたのを見たきりで。
みんな、行くべき駅に辿り着いていた、そうして彼らを三角柱に通してやると、彼らの才能が浮き彫りになる。
僕は、何処で、いつから、七色のどれにも染まれないことが決まっていたのだろう。

瘡蓋を剥がして初めて見える君の、顔。
笑みばかり転げて、寒空の馴鹿が、馬鹿と談笑してるのを夢見る。
あどけないたじろぎが、十二天の全てを一等星にして、発明王の失敗を嘲笑っていた。
坂の上、犬が吠え、解凍した正気の拡張子、それらが喚き散らしているのは見苦しくて、頸が、ゆっくりと、昇る音を、端からみていた。
救いようの無い野良猫の、右足を切り落とした曲がり角、三本と五本で握手して、互いに素数だなんて笑いあった。
味の薄い涙は、新月の夜空のようで、砕いた銀のロケットを置かないと、押し入れで迷子になりそうだ。

祭壇に手を合わせて
孤独と寂寞を装って
雨の日の電子掲示板は晴れ?

雲煙の頂点で円運動を起こした白鳥が、黒い幕を降ろすと共に、劇場に支配された権力者達が踊っている。鷹はそれを見下して、眠り牛達は草を食んでいる。

太陽は怒号を飛ばす。烏は啼く。
また繰り返す。

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