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他人の食事も作っている

(マガジン『赤の他人の食事を作ってる』その1)
 
 
 現在、自分の分の他にもうひとり分の食事を作っている。
 
 同性で、ひとまわり以上年配の人の、だ。
 
 仮に、Hさんとしておく。そのHさん、数値が実によくない。しかも、まだまだ仕事が現役で、まだ伸ばしていきたいという。
 バイタリティ溢れるのはいいことだが、しかしそれに身体が付いていかなければどうしようもない。ということで、添加物を避けるぼくの食事を欲しがったのだ。
 仕事上の重要な相手で、倒れられたら困るので、まぁこちらもOKした。洗濯や掃除では時間が取られるが、食事なら2人分作ったところで、そう手間はない。どのみち自分の分を作るのだから。
 
 Hさんは高齢男性のよくあるケースで、血圧と尿酸値を下げる薬を飲んでいる。それに加えて腎臓の数値が悪い。ときおり、自覚症状もある。ぼくの添加物の説明を聞いて、少しは真剣に食生活を考えたようだ。もっとも、こちらも強く言ったわけではない。人に言ったところで、生活習慣のことなど分かってもらえるはずがないのだ。単に、嫌われるだけ。ぼくの説明にHさんが耳を傾けたのは、ちょうど本人に危機意識が膨らんでいたからだ。ようは、タイミング。
 
 Hさんは独身で、1週間自炊なし。特段のご贔屓はイトーヨーカドー(特に8の付く日)と日高屋だ。このところマズい自覚症状が出たということだが、逆に、よく「このところ」で済んだものだ。「以前から」じゃないのか?
 
 人間頼られると張り切ってしまって、健康食に突っ走りそうになるが、ぼくはとにかく野菜中心を避けるようにしている。野菜中心になんかしたら、すぐにぼくへの依頼を止めてしまうだろう。おそらくは外食中毒になっているはずだから、まずはリハビリだ。現在は肉料理を中心にしている。徐々に慣らしていくつもりだ。それに、さほど健康を意識しなくても、外食やレトルトよりは自炊の方がよっぽどマシだ。
 
 Hさんは今のところ食べてくれているが、禁断症状が出るかどうか。次回の健診でいい数値が出れば、継続すると思うが、そこでたいして変わらなければ、やめてしまうのではないだろうか。
 
 
 

駄文ですが、奇特な方がいらっしゃいましたら、よろしくお願いいたします。