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マクニール『世界史』ノート⑤大戦の間で

アメリカの孤立主義

第一次大戦後、アメリカはヨーロッパの問題にかかわらないようにする孤立主義を採り、国民も政府の活動に関心をはらわず個人の財産づくりに励むようになった。この時期のアメリカは栄華を極め、その後世界をリードする国にのし上がる。

直近では共和党のトランプ政権が孤立主義的な政策をとったことが記憶に新しい。アメリカでは共和党が自国を優先させる傾向があるのに対し、民主党(オバマ政権など)は国際協調路線を採用する傾向にあるようだ。トランプから政権を奪還したバイデンはもちろん民主党。

ロシアの全体主義

一方、ヨーロッパは戦争からの復興がなかなか進まず苦しい時を迎えた。ロシアではレーニンによる共産主義が展開されるものの、西欧に広まることなく尻すぼみとなってしまう。その後レーニンの後を継いだスターリンが全体主義的な共産主義を展開(スターリンは1924~1953年にソ連の独裁的権力を掌握)。第一次五ヵ年計画における集団農場や大粛清で、国民や敵対政党を弾圧した。

全体主義とは?
全体主義とは個人は全て全体、つまり「国に従属すべし」という考え方で、日本においては戦前の「お国のため」「天皇陛下のため」が該当する。要は個人の意思に関係なく「その全てを国に捧げよ」という意味なのだが、純粋なファシズムと違うところは、資本主義、民主主義も認められているという点。

世界恐慌

1929年ニューヨーク市場の株価大暴落をきっかけに、西欧資本主義諸国に大恐慌がふきあれる。アメリカではニューディール政策が発動され一定の効果をあげたが、ヨーロッパの各国は成果がまちまちで必ずしも成功したとはいえない国もあった。そんな中、ドイツにおける経済への不安の高まりがナチスの温床となってしまう。

ファシズムの躍進

イタリアでムッソリーニが率いるファシスト党が躍進しファシズムが台頭。ドイツではナチス(国家社会主義ドイツ労働者党)が政権を握り、ヒトラー政権下でファシズムが躍進。ナチス率いるドイツはポーランドに侵攻し、ポーランドと同盟関係にあったフランスとイギリスがドイツに宣戦布告する形で第二次世界大戦の引き金を引いた。

まとめ

第一次世界大戦の後、世界は束の間の平和を取り戻したかに見えたが、アメリカとヨーロッパで起きた一連の出来事が第二次世界大戦の温床となってしまう。

まさに戦争と平和の真っ只中にあったこの時代、現代からは想像もできない暮らしであったことだろう。ただマクニールが「圧力鍋」と称したように、この間に育まれた文化や国家の成長が著しいのもまた事実。最初の世界大戦はその後の世界を大きく変えたのである。

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