カレーをスパイスから作る男

わりと昔から言われている話に、
「付き合ってはいけない3B」
というのがある。

美容師、バンドマン、バーテンダー。

なるほどまあわからんでもない。

若い女性との出会いは多いし、
かっこよく見える職業だし、
初対面の人とのコミュニケーション能力が鍛えられるためか、
印象が軽そうに見える男は多い。
お付き合いする女性が心配になるのも無理はなかろうと思う。

それから最近になって聞いた話に
「付き合ってはいけない3C」
というのもあるらしい。

カメラマン、クリエイター、
そして、
カレーをスパイスから作る男。

なにそのピンポイント攻撃、と思うが、
いやこれもわからんでもない。

それぞれ自分の作るものに強いこだわりを持っていることが多く、
他の人には理解しがたい部分も少なくない。
また、好きなもの対する金銭感覚がおかしくなりがちでもある。
お付き合いする女性と価値観がズレるのも無理はなかろうと思う。

だが、あくまでこれは「そういう傾向ありがちだよねー」ぐらいの話。
「付き合ってはいけない」とまで言うのは、
いささか度が過ぎてはいないだろうか。

誠実な美容師だって沢山いるし、
常識人で倹約化のクリエイターだっていなくはなかろう。
逆に、一般的な会社員でとんでもないゲス男みたいなやつも沢山いるし、
事件を起こして解雇される警察官なんてのもいる。

さて、かくいう私、何を隠そう、
「バンドマンでありながらカレーをスパイスから作る男」

グッズのデザインや文章を書くこともあるのでクリエイターとも言えるだろうし、
飯の写真にも自分なりにこだわっており、
趣味ながら、カメラマン的なヤバイ要素も持っているかもしれぬ。
言ってみれば1Bと3Cを制覇しているが、
どうかね、きみ。
しっかりと見てみたまえ。

ようは万事これ、人によるのであって、
どの職業だから付き合ってはいけないなどとは失礼千万。
もう少しその人本人の内面を見てから、お付き合いの相手を選ばれたいと思う。

ただし、ひとつだけ例外がある。
唯一、私から見ても付き合ってはいけないと思うタイプの男がいるのだ。

それは、
「付き合ってはいけない3S」
すなわち、
「詩にこだわるタイプのシンガーソングライター」である。

3Sをひとりでコンプリートするそのタイプの男は、
若い女性との出会いも多く、
妙なこだわりやズレた金銭感覚も持ち、
のみならず倫理観がすこぶるヤバく、
恋人との間のトラブルも、解決せぬ間にすぐ歌にする。

ちなみにその3Sを満たしている時点で、
たいていバンドマンでもあり、クリエイターでもある。
また、休日にはカレーをスパイスから作りがちであり、
写真も好むため、出来上がったカレーの写真をインスタやnoteに上げたりしがちである。

まあしかし、さすがにそこまでの条件が揃っている人は滅多におるまい。
幸いなことに私の身近にも心当たりは、これ、まったくもって皆無なのであるけども、

そういった男性がもし居たならば、
決して安易にはお付き合いせぬよう気をつけられたし。
いやー、くわばらくわばら。