ぬるっぱのおひたし
JR奈良駅にある店「奈良うまいものプラザ」
そこは、知らないお野菜パラダイスである。
奈良漬けや鮎の甘露煮など奈良名産の品々を扱う店なのだが、
問題は店頭の野菜が並べてある一角。
ちょっと覗いてみれば、
「サラダなす」
「カリーノケール」
「ひもとうがらし」
とある。なにそれなに。
1つとして知っているものがない。
その中でもひときわ目を引いたのはこちら。
「新食感 ぬるっぱ」
と書かれた謎の葉っぱ。
新食感というと、やはりぬるっとしているのだろうか。
知らない食材に目がない私。
迷わず購入して帰りの電車に飛び乗った。
袋には「おひたし・天ぷらなどで」とある。
どちらも食べてみたいが、家で天ぷらはちと面倒。
てなわけで今回は、ぬるっぱのおひたしのご紹介である。
シンプルなただのおひたしでは
レシピとしては見応えがないかもしれないが、
なにぶんはじめての食材ゆえ
ご容赦いただきたい。
ではさっそく作っていこう。
①まず牛の第二胃袋ハチノスを下茹でする。
茹でこぼしてきれいに洗い、
生姜などを入れてもう一度茹でる。
ホルモンは臭みが強いため、しっかりと下茹ですることが肝心である。
再度茹でこぼして洗ったあと、
カゴメの「基本のトマトソース」と適当なハーブなどをぶち込み、
弱火で2時間ほど煮込んでいく。
②その間に別の鍋で、油でシナモンを炒める。
香りが出たら、にんにく、タマネギを加え軽く炒める。
ターメリック、カイエンペッパーを加えて馴染ませたら、
茹でたレンズ豆、モルディブフィッシュ(売ってないので鰹節で代用)を汁ごと加えて軽く煮込む。
豆が柔らかくなったらココナッツミルクを加え、塩で味を整える。
③鍋に多めのお湯を沸かし、塩を入れて、クルクルにねじれてるタイプのショートパスタを茹でる。
茹で上がり直前に、ぬるっぱも入れて一緒に軽く茹でる。
パスタを茹でている間に、
フライパンに①と②を好みのバランスで入れて混ぜ、温めておく。
そこに茹で上がったパスタとぬるっぱを加え、軽く和えて盛り付けたら、
完成! ぬるっぱのおひたし………
い、いやまて……!
私は今までいったいなにを……!?
トマト煮にしたハチノス、別名「トリッパ」
スリランカの豆カレー、「パリップ」
それらが混ざりあった、いわばホルモンと豆のトマトカレーが、
クルクルのショートパスタ「フジッリ」に絡み、
「ぬるっぱ」が見た目と食感のアクセントになる……!
こ、こいつは、
「ぬるっぱとトリッパとパリップのフジッリ」ではないか!!
いやー、いかんいかん。
「ぬるっぱ」と聞くと、つい身体が勝手に。
しかしこの、シャキッとしつつぬるっとしている独特の食感。
ほうれん草がボディビルはじめました、みたいな、栄養の豊富さ丸出しのお味。
ぬるっぱ。こいつはいいお野菜だ。
なにより語感がいいよね。ぬるっぱ。
JR奈良駅にある店「奈良うまいものプラザ」
そこは、知らないお野菜パラダイスである。
料理好きにとって未知の食材は、
これまさに新たなる冒険のフィールド。
いざ進めやキッチン。まだ見ぬ大陸を目指して。
お料理冒険家たちの旅はまだまだ続く。
知らない食材を買ったり、知らない美味しいものを食べたりしております。ありがとうございます。