もう何も刻みたくない人のための青椒肉絲
よっ、久しぶり。
待っとったかい? すまんすまん。
久々の今回は、完全に中華な気分である。
あるよね。完全に中華な気分の時。
特にあれとか。青椒肉絲。
今、完全にあれの気分。
しかし同時に
完全になにも頑張りたくない気分である。
いやー、久々だというのに、すまんすまん。
あるよね。もうカップ麺とかで済ましたい時。
でも同時に完全に中華。
青椒肉絲食いたい。
でも今日は何も刻みたくない。
てなわけで今回は「もう何も刻みたくない人のための青椒肉絲」のご紹介である。
料理しない人は侮ってるかもしれんが
実は青椒肉絲って、トップクラスにめんどくさいメニューなのだ。
といってもピーマン、竹の子、肉を細切りにするだけなのだが、問題はこの細切りの精度。
美味しく仕上げるためには
全ての具材をキッチリ同じサイズにしなければならない。
プロの職人さんならいざ知らず
ちょっとお料理好きなぐらいの私にはこれが超大変。
今日だけはなんとか。
何も刻まずに作れやしないか、青椒肉絲。
そんな無茶な願いを胸に、いつものスーパーに立ち寄った。
惣菜コーナーには青椒肉絲は見当たらない。
しからば、俺たち主婦の相棒クックドゥはどうだ。
ふっはは、あったわい青椒肉絲の素。
こいつなら手間いらず、簡単に作れるであろう。
どれどれ、作り方は
・ピーマン、水煮たけのこ:細切り。
・肉:細切りにして、片栗粉大さじ1をまぶす。
ってばっきゃろう。
細切りなのよ。
代わりに済ましておいてほしいのは、
その細切りなのよ。
クックドゥの力をもってしても避けられない細切りの工程。
もはや俺たちに希望はないのか。
悲しみに暮れ、スーパーの店内をさまよう私。
もう適当にカップ麺で済ますか。
なんて考えながら、なぜお野菜コーナーにたどり着いたのか。
不思議なこともあるものである。
見慣れたお野菜コーナーの棚。
なんの変哲もない、袋に入った40円そこらのそいつが、今日はなぜだか輝いて見えた。
お前が、呼んでいたのか……?
そこには、最初からすでに細切り状になっているお野菜。
そう、もやしがいたのであった。
「導かれし者よ
何も刻まない青椒肉絲を求めし者よ
集めよ。我が兄弟を。
最初から細切り状の食材たちを。」
そして店内の放送から流れ出すドラクエのオープニングテーマ。
こうして、私の何も刻まない青椒肉絲を求める冒険が、幕を開けたのだったけども、
長くなっちゃうのでダイジェストでお届けしますわね。
まずたけのこは諦めた。
あいつはシャキシャキ要因であって実はさほど味はない。
もやしで代用しても大丈夫なはず。
きのこコーナーでえのきを発見。
いいじゃないの。細切り状じゃないの。
肉をどうするか。
細切りのタレ漬けで、あと焼くだけみたいなアレがあったら理想なのだけど
あいにく今日は売り切れ。
薄切り肉をちょっとだけ切るか。
いっそミンチでいくか。
いやまてよ、加工肉コーナーならもしかして。
そして発見「プリマハムらくらくお料理ベーコン」
すなわちすでに拍子切りにされているベーコンである。
いいじゃないの。細切り状じゃないの。
あとはピーマン。こいつが難題だ。
ししとうなどではいささか太すぎるが
かといってピーマンをあきらめるわけにはいかない。
なんせ青椒肉絲の「青椒」とは
ピーマンなど、品種改良で辛味を抜いた青唐辛子類のことなのである。
こればかりは自力で細切りにするしかないのか。
俺たちの旅、ここで道は閉ざされてしまうのか。
いや、待てよ。
あるんじゃないか。我が家に。
最初から細切り状の青唐辛子類が。
前から読んでくれている人はもうお気づきであろう。
JR奈良駅にある店「奈良うまいものプラザ」
そこは、知らないお野菜パラダイス。
そう。そこでこないだ買っていたのである。
「ひもとうがらし」
その名の通り、ひものように細長い唐辛子。
しかも、辛味のない青唐辛子。
いいじゃないの。細切り状じゃないの。
そして、まごうことなき青椒じゃないの。
その瞬間、脳内に響く声。
「導かれし者よ
何も刻まない青椒肉絲を求めし者よ
よくぞ我が兄弟たちを集めた。
さあ、炒めよ。
さすれば道はひらかれん。」
こうして、私の冒険は幕を閉じた。
ずっと流れていたドラクエのBGMは家ではもう聴こえないが
食材を炒め、盛り付けて
念願の何も刻まない青椒肉絲を口に運んだ私には
噛む度毎にシャキシャキと
小気味の良いエンディングテーマが聴こえておったよ。
てなわけで。
みんなもあるよね。青椒肉絲食べたいけど何も刻みたくない時。
そんな時は適当なシャキシャキした野菜をオイスターソースで炒めちまえばこっちのもんなので
これわりとほんとにおすすめである。
もしそれすらもめんどくさい時は
いや、あるよね。
あるある。わかるー。
いいさ。もうカップ麺で済ましちゃっても。
カップ麺はこの世界で最高の食べ物のひとつ。
あれを超えるレシピは、私のお料理記事にはないぜ。ふっはっは。
知らない食材を買ったり、知らない美味しいものを食べたりしております。ありがとうございます。