陰陽論16精神の発生10

意の文字は、心の音から出来ていると述べました。意識に現れるのは、音だけでなく映像があります。触覚もあります。欠損した箇所が痛む幻肢痛は、脳の中て起きているトラブルとされます。

ここで魂縛と心の問題を考えるために、AI(人工知能)に触れておきます。

人工知能も眼や耳、鼻、触覚に当たる機能を備えたものがあります。しかし、今の段階では人間とは決定的に違う点があります。それは「自身の身体」としての感覚ではないことです。最も重要で、なお例としてわかりやすいので、痛覚(痛みの感覚)を題に考えます。

ここに一台のロボットがあって、本当に人間らしくしようとすれば、痛みを覚えさせなければなりません。例えば、部品のどこかが傷んできた時に、文字通り「痛み」としての警告が、ロボットに搭載されたAIに反映するようにです。もしかしたら、技術的には早晩可能になってしまうかもしれません。でも、そうなったら何が起きるでしょうか?

ロボットが自身を守ることを最優先にすれば、それは利己的な存在になります。もはや、人の言うことを聞かないロボットという、SFの定番ネタが現実になることでしょう。それまでの人工感覚器に入っていた、映像や音、圧力などは、どこまでいっても「外部の情報」でしかありません。しかし、そのロボットとAIにとっては、自らに及ぼす「内部の事件」となってしまいます。

私たちは、既にそういう存在なわけです。外部の情報を自身の事件として受け取るから、生きていられていることになります。そういう意味で今のAIに身体はありません。無くて結構!という気もします(笑)

精は身体を作るプログラムみたいなもので植物的です。魂は身体を守るプログラムの一つで、動物には必須となります。人間の魂は外から来て「内部の事件」として受け取った情報を、心(意識)によって、もう一度「外部の情報」のように刷り直していると言えるのではないでしょうか?

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