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うちにはピカソがいる

うちにはピカソがいる。
その友だちにもピカソがいる。
そういえば岡本太郎、ルソー、マネやモネなんかもいたりする。
わらっちゃうくらい天才ばっかりだ。




友人家族を招待してホームパーティをしているときだった。1階は大人で一杯になっちゃうから、当時保育園児だった子どもたちは主に2階で遊んでいた。我が家の壁には絵を描いていいことになっているから、皆思い思い絵を描く。中には廊下の壁一面に2mはあろうかというクジラを描いてくれた男の子がいた。彼は紙にも作品を残してくれた。




その中に我が娘を描いた作品があった。
だあれ、これ。
うん?藤堂さん。
娘の名前を発音できなかった彼は、保育園でも娘を藤堂さんと呼んでいた。
その作品を気に入ったので、彼の母であるゆかりちゃんに絵を譲ってほしいとたのんだ。そんな落書きになんでそんな事聴くの? ぐらいの感じで彼女は了承してくれた。




ぼくはさっそく額縁にいれ、壁に飾った。ピカソのドローイングのとなりに。
するとどうだろう、おなじ匂いがするではないか。
素晴らしい、とスッカリ自己満足をした。

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翌月、またもや我が家で定例パーティーである。そこにゆかりちゃん一家もやってきた。
パーティーが進み、壁の絵に彼女は気づいた。
「あれ? これ、りょーへいの?」
とても驚いた様子だ。少し、感動してるのかな。
「そうだよ、とっても良いでしょう。ピカソに負けず劣らずだよね。子どもはみんな天才だね」と褒め称えると、彼女は云った。
「やっぱり、返してくれない?」




あなたの家にも、天才の作品が寝っ転がってはいないだろうか。乱暴にしまわれてはいないだろうか。額縁に飾ってみたら素晴らしく映える作品が、眠ってたりはしないだろうか。
その価値を、よくよく見定められることをおススメしたい。

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