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上場ハウスメーカー炎上で学ぶ文春砲と炎上プロセス

WEBメディアモニタリングサービスQlipperを運営している株式会社トドオナダ代表の松本と申します。
業績好調の上場ハウスメーカーが文春砲によって大炎上しました。
今回の大炎上は文春砲第1弾から第3弾までテーマが日々変化しています。
どの記事がどの様な炎上推移をたどるかまとめていきたいと思います。

7月10日から8月10日炎上状況

不動産 (2)

上場ハウスメーカーの記事数を7月10日から1ヶ月間分析したグラフが上記となります。
7月13日と7月21日の二つの山が確認できます。また7月16日に小さな山があります。
記事数だけを分析した場合、7月13日〜7月21日の記事数増加以降はこれといった記事の大幅増加はおきておらず落ち着いたと考えられます。
しかし仮想PVで評価したグラフを確認すると、本来の炎上状況が確認できます。以下はQlipperが算出した7月10日〜8月10日までのPV遷移をあらわすグラフです。

不動産 (4)

上記グラフをみてみると、注目度が高かった記事は7月20〜21日、7月29日、8月4日の3箇所になり炎上は治っていません。特に8月4日の記事に関しては注目度が高かったと言えます。
それでは記事数の多かった7月13日7月16日とPV数の多かった7月20〜21日、7月29日、8月4日の4箇所の詳細を追ってみたいと思います。

7月13日に記事数が増加した要因

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12日発表した2021年5月期の連結決算は純利益が前の期比40%増の71億円と過去最高益を更新した。(日経電子版より引用)

この報道が株式市場が閉じたあとに発表されたため、7月13日に株価が急騰し株関連の記事が一斉に報じられることになりました。
7月13日に記事を掲載したメディアは
・Yahoo!ファイナンス
・株探
・モーニングスター
・FISCO
などの株価情報サイトが中心で、仮想PVグラフをみても分かる通り一般の注目度はさほど高いものではありませんでした。
コロナ禍において、集合住宅のクラスタ感染不安からハウスメーカーの業績は軒並み好調であり当該ハウスメーカーも例外でなく大幅な利益アップの状況となりました。いわゆるコロナ銘柄で市場も好意的に発表を受け入れたと考えられます。

7月15日〜7月16日の話題はニュースリリース

当該ハウスメーカーのホームページに以下のニュースリリースが掲載されました。
【インターネット上における当社の新型コロナワクチン対応に関する誤った書き込みについて】

これは6月下旬頃よりTwitter上で話題になっている内部告発ツイートを否定するニュースリリースです。
炎上の火種としては6月下旬から断続的にツイートされておりますが、大きな影響もなく世間一般的な認知は低かったと言えます。
また丁度Adoさんを起用した新CMの発表が重なったこともあり、世間の注目はそちらが集めていたとも言えます。

本ニュースリリースを受けて、J-CASTニュースと弁護士ドットコムに記事が掲載され後追い記事と転載記事が複数掲載され、記事数が増加しました。

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文春砲とニュースリリースの時系列

文春砲は6月下旬から続くTwitterでの怪情報を否定するニュースリリースを当該ハウスメーカーのHPに掲載した後に放たれました。
恐らく株価急騰の状況も視野にいれての掲載だと思われます。
文春砲と当該ハウスメーカーのニュースリリースが掲載された時系列は以下の画像に縦線にて表示しました。

不動産 (5)

7月20日の文春オンラインの記事は7月15日のニュースリリースのスクリーンショットを掲載しており、ニュースリリースが引き金になって取材したと思われる内容となっています。
これを受けて21日は株価が急落し、株価情報サイトを中心に記事が増加。
また、本件に関して官房長官が発言したことを報じる全国紙の記事が一斉に掲載されました。

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この株価急落をうけて、当該ハウスメーカーは7月22日に「週刊文春」(7 月 29 日号)掲載の一部報道についてというニュースリリースをHP上に掲載しました。
このニュースリリースの掲載後7月28日に文春砲第2弾が文春オンラインに掲載されました。

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本記事が掲載されたことを受けて、29日に当該ハウスメーカーも【「週刊文春」(8 月 5 日号)掲載の一部報道について】というニュースリリースをHP上に掲載。また、このニュースリリースの内容を弁護士ドットコムが記事化して以下の記事を掲載しました。

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この記事の掲載により事態は収束したかに見えたのですが思わぬ方向に文春砲の内容が変質しました。

文春砲第3弾と大炎上

当初はTwitterでの内部告発からはじまって、反ワクチンで社長が社員に動画を発信していたことが文春砲により明るみになった騒動だったはずですが、社長の人柄に世間は大きく関心を寄せる結果となってしまいました。
この結果をうけて文春は8月4日新たに以下の記事を掲載し、大きな反響をうけることになります。

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メディア報道とSNS炎上、株価推移

以下に本件のメディア記事数とTwitter投稿数を重ねたグラフを掲載いたします。これをみると文春砲第3弾の内容が一番ダメージを与えたことがわかります。

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また、以下は参考までに株価の推移です。

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こちらをみても28日の第2弾に比べて第3弾の影響が大きいことが伺えます。
社長のブログやSNSなどが企業に大きなダメージを与えることはよくあることですが、たとえ社内への発信であったとしても発信内容の確認はするべきなのではないかと思っています。
また、社員が社内情報を持ち出した可能性も否定できず、雇用契約時の機密保持契約条項に関する説明もきちんと行わなければならないと思います。

この炎上で非常に気の毒なこと

この炎上によりAdoさんが歌うCMの報道内容が一変してしまいました。
7月28日以前までの報道内容は非常に好意的であったのに対し、7月28日以降の報道内容はバッシングとも取れる内容になってしまいました。
以下、Qlipperで感情分析した結果です。

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CMキャラクターを務めるタレントの不祥事により、企業のブランド価値が毀損するケースはよくみられる事象ですが、タレント側がバッシングされるケースは非常に珍しく、本炎上が反ワクチン陰謀論の様な非常にセンシティブな炎上であることが影響していると思われます。
CMにキャスティングの際に起用するタレントが他にどの様な仕事をしているか気に掛ける必要があるかもしれません。

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