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文章表現で意識していることを聞かれても…

ごく稀に文章を褒められる。すごく嬉しい。ずっと上手くなりたいと思っていたから。

ちょっと前までは、「君はあんな繊細な文章が書けるのか」と驚かれることが多かった。あまり話さないのに口を開けばふざけたことばかり言ってるからだろう。まったく、困ったものだと言いたいけれど、ぼくはギャップが欲しかったから嬉しかった。

最近は真っすぐ褒められることが多くて逆に困っている。

「エッセイストみたい」「わかりやすいし、思いも伝わってくる」「好きな文章です」「あれだけ書けたらなんでもできますよね」

褒められ慣れていないからどう受け止めて良いのかわからない。どうしてもおちゃらけてしまう。照れくさくて仕方がない。

でも褒めて欲しい。褒めて伸びるタイプだから。そのちょっと複雑だけれど甘美な感情の渦の中でぐるぐるしている。

はいはい、そうですか、わかりますか、ぼくのこだわりが、と一通り得意になったところで決まって、良い文章を書くコツを聞かれる。ぼくのゆるんだ顔がシュっと引き締まる。困った、何か気の利いたことを言わねばならない。できれば30秒以内に。人は30秒以上の話は長すぎて集中力が切れて聞けないのだそうだ。

だから30秒以内で簡潔に「なるほど」と思わせる気の利いたこと言わねばならない。

これまで何度も同じことを聞かれているはずだけれど、うまく答えられたためしがない。いつも持ち合わせがない。

結果、ものすごくてきとうなことを言って評判を落としている。

だってわからないんだもの。

その人がどういう文章を書きたいのかにもよる。報告書かブログかエッセイかアフィリエイト用かとかいろいろ求められるものは違ってくる。アフィリエイト用ならどちらかと言うと人間ではなくてグーグルのアルゴリズム向けに書かないといけないし。

けれど基本は、コンクルージョン・ファーストといって結論をまず始めに書いてその理由付けを書いていくのがわかりやすくて良いと思う。

理由付けだから、報告書のように事実の箇条書きようなものをいくらか用意すればいい。そこに形容詞や副詞で着飾ればそれなりの文章になると思う。このとき意識するのは、ファッションは引き算という概念。じゃらじゃらアクセサリーを身につければオシャレというわけではないように、無駄に小難しかったり過度な表現をすると全体のバランスが崩れてダサくなる。初心者はシンプル・イズ・ベスト。

あとは、自分が何を伝えたいのか、何を読者に感じてほしいのかを意識して、決して上手な文章を書こうとせず、驕らず、自分の感情を素直に言語化する練習を何度かすれば早晩良い文章が書けるんじゃないかと思う。

ぼくは、サマセット・モームやブルース・チャトウィンのような文章を理想としつつ、難しいテーマをオマージュやギャグを織り交ぜながらポップにバランス良く描けているゴールデンカムイの表現を参考にしている。

可処分時間という言葉があるように、その人生の貴重な時間をぼくのnoteを読むことに使ってくれたんだから、少しでもなにか「なるほどな」とか「おもしろいな」とか思えるようなことを書くようにしている。ぼくはあなたの期待に応えたい。

と、ここまで少しエラそうなことをつらつらと書いてきたけれど、もれなくぼくがそれらをできているかはまた別の話。この文章だって、うーんうーん背伸びしながら書いてる。それらが正しいかどうかも知らない。たぶん違う。日々試行錯誤しているし。

クレームは受け付けない。

だって責めるべきは、ぼくなんかに頼った君のセンスだろう。ぼくは律儀に期待に応えようとしただけじゃないか。

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