いろんな角度から読める本だと思う。戦国時代の日本がどんなところであったのか、当時の日本人はどんな人たちだったのかを知ることができるのはもちろん、ぼくはイギリスへ留学へ向かう1人の学徒として天正少年使節に自分を重ね、開発ワーカーの卵としてキリスト教の宣教師が日本という文化も価値観も異なる異国のそれも治安も情勢も不安定な戦国時代で、独裁政権下での布教活動に奮闘する様子に共感しながら読んだ。
また、著者自身の文献を読む態度であったり自身の価値観について割と多く語っており学びが多く、言葉が強く、何度もグッときた。
天正少年使節とは16世紀末、日本のキリシタン大名の子息をヨーロッパに派遣したプロジェクトのことだ。これはイエズス会の発案で、このプロジェクトの目的は、西欧の王と教皇に日本への援助を訴えるため(日本は文明的であり高度な文明があり、支援・投資する価値が十分あると実際に使節を交流して実感してもらうため)と、日本の若者に西欧を実際に見てもらうことで西欧とキリスト教の偉大さを知ってもらうため(当時の日本の人たちは中国と自分の国が最高だと思っていたので清貧な格好でやってきた宣教師を自国でくいっぱぐれた可哀想な人だと思っていた)。
ぼくはこれから援助業界で、言ってしまえば、その土地に長く住んでいた人たちに対して、たいした経験もないのに上から目線であぁだこうだと意見する人になろうとしているわけで、ぼく自身が彼らを見下しているわけではなくてもその言動や不用意な振舞いから、相手方にそう思わせてしまうとこじれてしまうわけで、繊細なコミュニケーションの必要性を感じている。
また、これは殉教の物語でもある。秀吉政権下で伴天連追放令がだされ、少なくないキリシタンが処刑されている。
この無常さ、理不尽さに、2016年にダッカの飲食店で開発関係者含む20名上の方が亡くなったテロを思わずにはいられなかった。そう言えば、2003年のイラクでは国連人権高等弁務官含む国連職員が20名が命を落としている。
大きなニュースにならないようなことでも事件、事故に巻き込まれてケガや最悪命を落とすことだってある。青年海外協力隊だって最近はあまり聞かないが死亡事故がときおり起こる。交通事故が多い。
ぼくは死ぬ覚悟ができている、なんて言わないけれど日本に住んでいるよりもリスクは高い。いつか、ひったくりとか恐喝で30ドルくらいをしぶって刺されたり撃たれたりするのだろうなと思っている。バカな日本人として数時間くらいはネットの話題にはなるかもしれない。