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祝日は働かないんだよ、たとえ自分の朝食のためであってもね

ー 週末の祭りにデュカナがでると思うから食べに行かないかい?

そんな誘いを大家のマルコムから受けた。デュカナは味のない「ういろう」のようなもの。大して好きでもないのだけど、それを食べるとマルコムがとても喜ぶので食べてる。すっかり彼はそれがぼくの好物だと思ってしまっている。

この嘘はつき通して付き合ってあげないといけない。昼から行くというので午前中に買い物を済ませてしまおうと、ダウンタウンに下りるとすべての店が閉まっていた。

これがコロナの自粛ってやつなのか。まだ感染者は1人だし、他国での感染者との濃厚接触者が自己隔離中なだけだと思ったんだけど。自粛のお達しは出てなかったと思うんだけどなあと思いながら、家に戻るとちょうどマルコムがバルコニーで出てきていた。

今日、14日土曜日はナショナルヒーローデイ。土曜日だからあれだけど、祝日なのだそうだ。

ー 祝日はね、みんな働かないんだよ。たいてい店だって閉めてる。私だって、朝ご飯すら自分で作らないよ。特に午前中はね。それも「労働」だからね。

日曜日と同じ扱いだったなんて。だったら仕方ない。

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祭りは道をひと区間通行止めにして行うという。これはぼくの英語力が低くて何いってるのかわからないのか、想像力が足りないのかどっちだと思いながらマルコムと会場まで歩いていくと、後者だった。

メインロードではない道を200mほど封鎖して、その中でテントを張ってお祭りをしていた。といってもテントは2つほどで規模は小さいのだけど。

何種類かのハーブを売っていたり(※麻薬ではない)して、お姉さんがひとつひとつ丁寧にこれがなんなのか何に使われるのかを説明してくれた。腰から下げてるサニタイザーが今どきっぽい。

奥の笹っぽい葉は香りが強く、ティーにするのだそうだ。束ねられている小さいものはスープに入れることが多いそう。話を聞いていると薬草のようなものなのかもしれない。

お手製のジンジャービールをもらった。この国でもしょうがはたくさんとれて、人気の食材。この国のジンジャエールは濃くてほんとに美味しい。

ジンジャービールが何かというと、説明はよくはわからなかったんだけど、飲んでみるとジュース。炭酸でもお酒でもない。

これは家庭によって味付けがけっこう変わるようで、マルコムの母はスパイスをけっこう入れて辛めに作っていたそう(それが原因で彼はジンジャービールが苦手)。

ぼくが飲んだこれは、辛みはなく、ほんのり甘く飲みやすかった。

もちろんDJも来ている。ギターセッションを楽しんでいた。

そしてカラルースープ。カラルーという野菜を、かぼちゃや豆や香草といっしょに煮詰めたもの。カリブてば一般的な食べ物で味も良い。たまに店で注文する程度に好き。

鶏肉を入れたりするんだけど、これはアイタルフード(ラスタファリアン向けの食事≒ベジタリアン)になってて鶏肉の代わりに、すいとんのようなものが入っていた。

ソルトフィッシュとブレッドフルーツ。
塩漬けのタラの野菜炒めなんだけど、しょっぱくてオイリーであれなんだけど、パンとかブレッドフルーツといっしょに食べるととてもおいしい。これも好き。たまに露店で買う程度に好き。

もちろん、お目当てのデュカナも買った。手前のドーナツのようなものは、タンブランビーンの砂糖菓子。酸っぱ甘くてクセになるお菓子。

このタンブランビーンのジュースもあってそれも悪くはなかった。

祭りって言うからそれなりのサイズを期待していたけど、イメージは町内会の出し物的なこじんまりしたアットホームなものだった。

1年も住んでるし、だいたいものは食べたことあるんだけど、ぼくはよそ者で、はじめましての人が多かったからか、あれも食べなさい、これは○○でね、ほら、試してごらん、なかなかいけるでしょ?なんて言われて出されたものは全部食べるタイプだからめっちゃお腹いっぱいになった。

だからデュカナはお土産として家に持って帰ることにした。そしてそのまま冷蔵庫に放り込んでいる。写真も撮ってない。

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