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現場って制度的な問題を属人的に解決してるから脆弱

教員の現職参加できてる人たちの帰国シーズンが来てる。彼らは4月からともすれば担任を持つ人たちで、帰国後数日のちに職場に復帰することになる。派遣時期にもよるのかもしれないが、7月くらいに2年の任期満了でもこの時期に任期短縮というかたちで帰国する。

そういう流れはぼくは知っていてから、彼らはほんとにただのボランティアで、この協力隊の経験を今後のキャリアにどうこうする、みたいな人たちじゃないんだろうなあと思っていた。

訓練所で知り合った教員の人たちも、協力隊のあとのことを考えてる人には合わなかったように思う。いや、ぼくなんかには話す必要はないと思っていただけなのかもしれないけれど。

4月から小学校の先生に戻るんです、という隊員と少し話をした。

「自分は現場型だと思って、何かできるんじゃないかってこういうところに来てみたんですけど、わかってはいたけど、自分じゃどうにもならないことが多くて。それって制度的な問題だなと。そこを変えないとどうにもならないなと思ったんで、政策の勉強もしたいなと思ってます。はっきり自覚しました。政治から逃げてたら政治に振り回されるばっかりだなって

彼の話はちょくちょく聞いていたし、ぼくが知らないところでの苦労もいっぱいあったんだろうと思う。彼の任地では、教員組合がかなり強くて、給料も良いし労働条件もかなり良い。

優秀な人材を集めるために、高い給料を用意してなかなかクビにならないとか働きやすい環境を整えること自体は悪いことじゃない。

けれど、彼の任地ではそれがある種の利権のようになってしまっていて、生徒の学力を向上させる意欲ある人とか適切な教育を行うことができる優秀な人材が集まるはずが、楽したい人が多く集まってしまったように見受けられたそうだ。セントルシアのFさんが最終報告で語っていたように生徒の理解度はお構いなしに、与えられたプログラムをただただこなすだけの一方通行なんだろうと思う。

それを改善するインセンティブもないし、給料が上がるわけでもないのに業務量を増やすなんてもってのほかで、法律と契約で守られた権利を主張してばかりで、2年間で新しい風を吹かすようなこともできなかったらしい。

そういうこともあって、現場だけでなくもっと上から変えていく必要があるから政策を勉強したいと思っているそうだ。

彼は、「良い先生が全然いないわけではないんです」と何度も口にした。けど、できる人とできない人のレベルがバラバラだし、その教育の質のバラつきを改善するために良い先生の授業を見学するみたいなことも、模擬授業もできなかったそうだ。そして最初はがんばるデキる先生も、周りが全然やっていないのに同じ給料だし、早く帰ったりするのを何度も見るうちに疲れてしまって擦れてしまう。良くないサイクル、良くない環境なのだそうだ。

良い人がいないわけではない、というのは納得感がある。

良い人はいる。ぼくが働く障害者コミュニティにもいる。

欧米の制度を模した仕組みものもある。外面は良い。けど、中身が伴ってなかったり、その良い人を適切に評価する仕組みがなかったり、その人の技術スキルをマニュアルに落とし込んで一般化する、みたいなことがなされていない。引継ぎもない。

だから、その人がいなくなれば、それまでやってたイベントも終わってしまうし、団体間の交流も終わってしまうみたいなことも多々ある。

というかそういうことばかりな気がしないでもない。

仕組みとマニュアル作り。人の能力に頼らず、質を上げ、組織をまわす。課題はどこでも同じだなあと思った。

ちなみに、その現職参加の彼は政策の勉強を大学院でしたいと言っているけれど、現職参加の条件として「すぐに教員を辞めない」という宣誓にサインしているから大学院に進学するのは少なくとも3年先にくらいになるらしい。

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