一人当たり総雇用者所得は開示できないの?

 本日、12月分の毎月勤労統計調査の速報値が公表されました。18年の現金給与総額(名目賃金)は、前年に比べて1.7%増え、実質賃金は0.2%増でした。一方で、参考系列の18年の伸び率の公表は見送られ、野党の反発は必至と日経新聞が報じています。

 昨日noteに書いた通り、この問題は正式系列に含まれているベンチマーク変更要因を取り除いて、名目賃金を遡及改訂することが解決の早道だと思います。ただ、次善の策として、月例経済報告で公表している総雇用者所得の内訳を出すわけにはいかないのでしょうか?

 総雇用者所得は、内閣府の資料にあるとおり、名目賃金と非農林業雇用者数を掛け合わせて算出されています。そして、名目賃金はベンチマーク要因を取り除く処理を、GDP統計の雇用者報酬と同様に、行っています。

名目総雇用者所得の原数値は、厚生労働省「毎月勤労統計調査」の一人当たり名目賃金(現金給与総額)に、総務省「労働力調査」の非農林業雇用者数を乗じることで作成しており、(以下略)

 以上より、総雇用者所得の1人当たりの値と、非農林業雇用者数は分解して開示することが可能なはずです。

 試みに、総雇用者所得の伸び率から非農林業雇用者数の伸び率を差し引いたものと、正式系列の名目賃金上昇率、参考系列を比較するグラフを作ってみました。あくまでも近似値ですが、名目賃金×非農林業雇用者数=総雇用者所得なので、総雇用者所得の伸び率から非農林業雇用者数の伸び率を差し引いたものは、ベンチマーク要因が調整された名目賃金上昇率になるためです。皆さんはどんな印象を持たれますか?


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