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「個人のキャリアは予期せぬ出来事や偶然で決まる」に同感

 本日の日本経済新聞の「大学」面に、「地方配属 飛躍の機会に」という記事が掲載されてました。その中で、「個人のキャリアは予期せぬ出来事や偶然で決まる」というスタンフォード大学の故ジョン・クランボルツ教授の言葉に、思わずうなづいてしまいました。

 というのも、私自身の仕事歴も「予期せぬ出来事や偶然」に左右されてきたからです。

 1986年に大学卒業後、企業関連のニュースを担当する新聞記者として働き始めた私は、入社6年目になるころ(1992年ごろ)、「自分はこの仕事に向いているだろか」「会社を辞めて別の仕事につこうか」と大いに悩みました。その時の直属の上司(取材現場のキャップ)だったFさんに「雑誌記者・編集者の仕事をしてみたらどうか」とアドバイスを受け、実際に出版社への出向への道筋をつけていただいたあたりから、私のキャリアは大きく変わったと思います。

 1993年に関連の出版社に出向した当初は別の雑誌を担当したのですが、ひょんなきっかけでマネー雑誌に異動(出向者が出向先で異動するのは稀なケースだったようです)し、4年間の出向期間のうち、丸3年をマネー雑誌の編集部で過ごしました(この時に、年金に関する取材をしたことがきっかけで、社会保険労務士の資格を取得しています)。

 1997年、マネー雑誌の編集を長く担当したことが縁で、新聞社の経済解説部に復帰しました。経済教室面の編集や、週末の特集紙面の執筆・編集など雑誌に近い仕事でした。今まで縁のなかった経済学(私の大学の学部時代の専攻は社会学です)やエコノミストと呼ばれる方々と交流する機会も得ました。

 1999年、35歳のときに勤務先と関連のあるシンクタンクに出向しました。このシンクタンクが人手不足で「とにかく誰でもいいから中堅社員を出してくれ」と勤務先に要望してきたため、そのシンクタンクの窓口的な位置づけだった私の部署から、私が召し出されたわけです(色々と各部署から断られた末だったらしいです(笑))。計量経済学など一度も習ったことのない私が、データ分析や経済予測の仕事に放り込まれたのです。ああ恐ろしい(笑)。

 そのシンクタンクでは、内閣府から出向したチーフエコノミスト(主査)と、金融機関などから出向している研修生がチームを組んで、短期、中期、長期の経済予測をしていました。私の役割は、主査と研修生のサポートをする「総括」と呼ばれるものでした。ただし、チームの中で、自分が最も何も知らないわけで、サポートどころではありません。最初は、毎日が辛く、早く記者に戻りたいと思ってました。

 しかし、お仕えした主査から懇切丁寧に経済分析や予測のことを教わる中で、徐々に仕事が面白くなってきました。様々な企業からきている研修生の方々との交流も楽しいものでした(研修生OBには、マスメディアで活躍しているエコノミストが多数います!)。出向3年目には、自腹で社会人向けの大学院に入学し、経済学や計量経済学をイチから学びました。

 大学教員に転じるきっかけを作ってくださったのも、お仕えした主査でした。2004年、最初に経験した専修大学大学院(科目は経済予測論)の非常勤講師は、当初、主査の方に来た話でした。しかし、ちょうど内閣府に帰任するタイミングだったため、私に「やってみませんか」と声掛けくださったのです。

 結局、そのシンクタンクには勤務先を退職する2011年3月まで12年間所属し、短期、中期、長期の経済予測をすべて担当しました。さらに、そのシンクタンクに集う経済学の先生方の交流から非常勤講師のお話もいただき、通算で9の大学で講師の経験をさせていただきました。

 そして、2011年4月からいまの勤務先、神奈川大学経済学部で日本経済論担当の教員として仕事をさせていただいております。

 入社6年目にFさんと出会ってなかったら。出版社でマネー雑誌に異動していなかったら。シンクタンクへの出向してなかったら。非常勤講師のお話を主査からいただかなかったら。。。。つくづく、「予期せぬ出来事や偶然」に支えられてきたと思います。

 大学に転じた後も、色々なご縁で学内外の仕事をさせていただいています。引き続き、ご縁を大事に頑張っていきたいと思います。

 最後に、私は前職に25年勤めましたが、一度も地方勤務の経験はありません(その代わりに、出向が16年です(笑))。それがキャリアにプラスになったか、マイナスになったかはわかりません。ただ、結婚が早く、3人の子育てもあったので、家族には迷惑をかけずに済んだかなと思っています。

追伸:ホームページでは、論文、連載記事なども掲載しております。よろしければお目通しくださいませ。

 

#COMEMO #NIKKEI

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