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”日銀版コア”の上昇率が2%割れ寸前~2024年5月の消費者物価

 本日(21日)、2024年5月の消費者物価が公表されました。消費者物価(総合)の前年同月比上昇率は2.8%と4月の2.5%から上昇率が拡大しました。日銀の金融政策に関連して注目を集める生鮮食品を除く総合も2.5%上昇と4月の2.2%から伸びが拡大しました。日経夕刊の記事はそこに注目しているようです。
 一方、エコノミストの皆さんの間で”日銀版コア”と呼ばれている消費者物価(生鮮食品とエネルギーを除く総合)の上昇率は2.1%と4月の2.4%から伸びが縮小しました。総合や生鮮食品を除く総合の上昇率拡大は、エネルギー価格の上昇によるものです。
 岸田首相は本日夕刻の会見で8~10月に電気・ガス料金の補助再開を表明しています。補助金が再開されれば、エネルギー価格の上昇は抑えられます。インフレ率の趨勢を見るうえで生鮮食品とエネルギーを除く総合の重要性が高まっているともいえますね。

一般サービスのプラス寄与が縮小

 下の図は、日銀版コアの上昇率の寄与度分解を行ったものです。2.4%上昇であった2024年4月と比較すると、公共サービスとともに一般サービスのプラス寄与が縮小しています。

外食などのプラス寄与が縮小

 一般サービス物価の上昇率を確認すると、宿泊料と家事関連サービスの押し上げ寄与が縮小しています。インバウンド需要は底堅いようですが、さすがに宿泊施設の押し上げ寄与も頭打ちになっていきたのでしょうか?外国パック旅行費の特殊要因を除けば、日銀版コアの上昇率は2%をすでに割っている可能性もあります。

#日経COMEMO #NIKKEI

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