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2020年3月の延べ宿泊者数は5割減

 本日、観光庁から3月の宿泊旅行統計調査が公表されました。日経電子版のNQNスペシャルでは、「蒸発する需要 宿泊業の3月稼働率」の見出しで、客室稼働率の低下ぶりを報じています。3月の客室稼働率の速報値は31.9%でしたが、以下のグラフに示したように、例年(60%前後)の約半分です。

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 この原因となったのが延べ宿泊者数の減少です。例えば、1人が3泊すると3人泊とカウントするのが延べ宿泊者数です。3月の速報値では、2360万7540人泊と、前年同月に比べて49.6%減でした。半減です。下の図は、毎月の延べ宿泊者数の前年同月比を示したものですが、3月の落ち込みがいかに大きいかがわかると思います。

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 2月の落ち込みは、中国で新型肺炎にり患する人が急増したことなどを受けて、春節の旅行者が激減したことが主因でした。日本人の延べ宿泊者数はむしろ増加し、延べ宿泊者数全体の下支え要因になっていたのです。

 観光業への外国人旅行者の存在感がよく言われますが、延べ宿泊者数でみれば2019年度で2割に過ぎません。仮に、4月の外国人の延べ宿泊者数がゼロになったとしても、日本人の延べ宿泊者数の落ち込みが3月(41.8%減)にとどまれば、4月の延べ宿泊者数全体の減少幅は54.4%と今月から若干拡大する程度にとどまります。

 しかし、緊急事態宣言が出て、日本人の国内の移動が制限されているなか、落ち込みはそんなものでは済まないでしょう。記事に書かれているように、「苦境にある事業者へのスピード感のある安全網整備」が求められています。

 なお、稼働率の低下は、シティホテルでより顕著です。宴会場やレストランなど、宿泊以外の複数の機能を備えたホテルを指し、宿泊料金も高めなところです。2月にも60%前後まで低下していましたが、3月は一気に30%になっています。東洋経済オンラインの記事によれば、シティホテルでは婚礼やパーティーの予約キャンセルも相次いでいるそうなので、業績への影響、ひいては雇用への影響も心配されます。

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#COMEMO #NIKKEI

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