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【書籍紹介】従業員エンゲージメントを仕組み化するスキルマネジメント

今回の記事は、ビジネス書の書籍紹介になります。



▪️従業員エンゲージメントを仕組み化するスキルマネジメント


①読むことになったきっかけ


私自信が会社の人材育成の制度設計を検討している状況にあり、本書を手に取りました。

社員の定着率の悪化、従業員の能力格差、不平等な賃金体系による従業員の不満、こういった課題を抱えており、解決策として人事制度、特に社員育成に関連した書籍を探しているところで本書に出会いました。

本書の著者が、技術系の人材派遣事業を営んでおり、人材業界での導入事例が詳細に記載されており、私自身も人材業界に勤めている為、参考になると思い本書を購入しました。


②著者の紹介


著書 中塚 敏明(なかつか としあき)

スキルティ株式会社 代表取締役社長

本書で紹介される、自走型組織を構築するセルフマネジメントシステムとしてクラウド型スキルマネジメントシステムの事業運営会社を経営。

ネットビジョンシステムズ株式会社の代表も勤め、本書で度々取り上げられる、技術系人材派遣事業を行っている。


③本書の重点ポイント


本書の重点ポイントでは以下の通りです。

・従業員エンゲージメントについて

・スキルマネジメントについて

・人事評価制度とスキルマネジメントの連動について

・経営理念とミッション・ビジョン・バリュー・パーパスの関係性について


順番に解説します。


従業員エンゲージメントについて

従業員エンゲージメントと社員満足度の違いが理解できる。

・従業員エンゲージメント「企業と従業員の相互理解・相思相愛度合い」
・社員満足度「企業の働きがいなどに対する従業員の満足度」
⇨従業員エンゲージメントと社員満足度については、誤った解釈が多いので、本質を理解できます。

本書では従業員エンゲージメントを高めることに重要性をおいており、具体的な戦略や取り組みも記載されています。
 

スキルマネジメントについて

社員の能力開発、人材育成を「仕組み」で行うスキルマネジメントについ理解できる。

スキルマネジメント導入の4つのステップ

「スキルマップ」各種能力の一覧 
「スキルボックス」能力のチェックリスト
「キャリアマップ」能力を軸に社員のキャリア形成を促す
「能力分析」キャリア目標と現状のスキルとのギャップを把握する

この4つの仕組みをPDCAで回していく

特にビジネススキルでよく使われる「規律性」「実行力」「創造力」などの人によって、スキルの高い・低いの基準が異なるビジネススキルを5つのサブ能力に分解して、全て達成したらできたと判断する仕組みは非常に参考になります。


・人事評価制度とスキルマネジメントの連動について

本書では、人事評価制度と能力開発を制度から切り離す方が良いと主張されています。

能力開発を意識しすぎると、評価項目の内容が多岐にわたり評価に膨大な時間がかかることから、実運用が困難になる為人事評価制度と賃金体系については、明確に連動していることが重要。

事例として該当地域(都道府県単位)の同業種に従事する社員の平均賃金と比較して役職別の賃金体系を作るなどの紹介があります。

人事評価と能力開発を切り離すという考えは、非常に理にかなっていると感じました。

本書では、評価制度の仕組みについて、スキルマネジメントを活用した仕組みの構築が具体的に記載されています。



・経営理念とミッション・ビジョン・バリュー・パーパスの関係性について

経営理念の意義について深く学ぶことができます。

会社によっては、経営理念の浸透に注力している企業も多いと思いますので、経営者だけでなく全ての会社員に参考になる内容かと思います。

特に、最近よく見聞きする、『企業理念、ミッション、ビジョン、バリュー、それにパーパス』の関係性について、整理され紹介されているので非常にわかりやすく理解することができます。

1.企業理念:企業が大切にする考え・価値観
2.ミッション:企業が果たすべき使命
3.ビジョン:企業の長期的に目指すゴール(将来像)
4.バリュー:企業が使命や目的を達成するための規範となる行動を定めたもの(行動指針)
5.パーパス:企業が社会に貢献するための、企業の存在意義

特に社員数が多い企業ほど、経営者側と一般社員の間に、隔たりやズレを生じさせない様、企業理念の浸透に注力している企業が多い気がしています。

お勤めの企業が経営理念の浸透に注力している企業であれば、理解度を深める為に、非常に参考になると思います。


④本書の良かったポイント点


本社では、著書が経営していた企業の実例をもとに、どのような制度改革を進めたか具体的に記載がある点がわかりやすい。

人事制度改革を検討している企業担当者にとって事例を踏まえて取り組みの参考になる為、この点が特に推奨できる。

人材教育の参考として、自身が将来に向けて習得すべき能力を明確にしたスキルマップ、自身が現時点で習得している能力を明確にしたスキルボックスの項目については取り組みが非常に具体的に記載されており、人材教育について非常に有能な情報が詰まっていると感じた。

失敗事例の参考として、従業員エンゲージメントの改善は、結果が低い一部の層だけを意識して改善に取り組みと、他の層に負担が偏ってしまい、逆にエンゲージメントが下がってしまう点は、どの会社でも失敗事例として当てはまると思いますので参考になると感じた。


⑤この本をお勧めしたい人


本書は以下の様な方にオススメです。

・経営者、人事部門責任者
⇨社員の定着率が悪い、優秀な人材が集まらないと悩んでいる人に特にオススメ

・経営企画、人材育成担当者
⇨スキルマネジメントという、個人自らが不足している能力を自覚して、自ら進んで能力開発をする仕組みを学ぶことができる

・タレントマネジメントシステムなどのHR業界に勤めている方々
⇨本書ではタレントマネジメントとスキルマネジメントは別物であるという様な内容になっていますが、参考になると思います。

・人材業界に勤めている方々
⇨私は、この部類に入りますが著書がIT系の人材事業の経営者である為、本書の題材にも大きく関わってきます。業界特有のビジネスの考え方などで説明されている部分があり内容が深く理解できると思います。

・これから起業を考えている人
⇨全ての企業に共通して、人事制度は必ず必要になるので参考になる以上になります。


⑥まとめ


まとめになりますが、本書は、社員の定着率悪化を解決するひとつの手法として、スキルマネジメントシステムの導入が提唱されており、スキルマネジメントシステムの必要性や導入を進める上で留意すべき内容を学ぶことができます。

私も本書から多くのことを学ぶことができました。

この記事では紹介しきれない、有益な情報(例えば経済産業省が提唱した社会人基礎力についてなど)が本書には書かれていますので、詳しい内容は一度本書を手に取って読んでみてください。

今回の記事はここまでです。


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