ポストコロナの観光再興プラン
はじめましての方ははじめまして。戸田佑也と申します。
静岡県掛川市という人口10万人くらいの街で、株式会社あらまほしという会社を経営しています。正社員1名、派遣社員さん2名の小さな会社です。
主な事業はWebコミュニケーション支援(名札型バーチャル背景つくったり、ウェビナーツールの販売代理店をしたり、Webサイトつくったり)、データを活用した社員エンゲージメント構築支援などです。
最近、ご縁のある地元の公立高校さんにて、休校対策として授業のオンライン化について取り組ませていただきました。
その取組の中で、コロナ以前以後で大きく社会が変わりそうだな、と感じています。
筆者自身は観光業者ではありませんが、掛川観光協会掛川支部の理事をしていることもあり、ポストコロナの観光について考えていることについて、粗々ですが書き綴っていきたいと思います。
観光業とコロナショック
例を挙げ出したらキリがないほどにCOVID-19は全国の観光業に大きな打撃を与えています。
東京商工リサーチが5月1日に発表した「新型コロナウイルス」関連倒産状況によれば、新型コロナ関連の経営破綻は全国累計114件に達し、その内訳を業種別に見ると宿泊業が26件と突出しています。
筆者自身、仕事でも遊びでも全国あちこちに行くことが多く、ファーストキャビンさんにはよくお世話になっていたので、同社の倒産は衝撃でした。
国内旅行が消滅したことによる大打撃
2020年3月の訪日外客数は、前年同月276万人→19万人まで減少しました。
近年、日本ではインバウンド需要の開拓・取込を積極的に推進し、順調に数字が伸びてきた中でいきなり冷や水を浴びせられた格好です。
とは言え、日本の観光業はインバウンドだけに依存していたわけではありません。
統計の都合少し古いデータですが、国内旅行消費額の市場別内訳(2016年)を見ると、日本人による国内旅行が85%を占め、訪日外国人旅行は15%程度でした。
ここ3,4年でインバウンドがさらに増えたとは言え、約8割は日本人による国内旅行消費と考えてよいでしょう。
すると、今回のコロナショックが大打撃を与えたのは、都市間移動の自粛が求められ、国内旅行消費もほとんどなくなってしまったことが大きな要因と言えます。
コロナ以前以後で観光ビジネスはどう変わるか
さて、未だ収束の見えないCOVID-19ですが、コロナ以前以後で、観光ビジネスはどのように変わるでしょうか。
ここでは、COVID-19の今後の推移について、以下のシナリオを前提として想定しています。
●6〜7月以降、経済的な自粛要請は徐々に解除される
●ただし、完全な収束にはワクチンの普及が必要になり、それは1年以上先になる
●それまでは三密回避やソーシャルディスタンスなど「新しい生活様式」を続ける必要がある
●今回の経験によって、テレワークやWeb会議は引き続き導入される
(現時点の状況を冷静に見た、ベストでもワーストでもない中間的なシナリオ想定のつもりですが、それはまだわかりませんね……)
さて、上記のように推移した場合
・地域間の国内旅行が回復するのは2020年秋以降
・訪日インバウンド需要が回復するのは2021年下期または2022年以降
となることが見込まれます。
つまり、今年6〜8月頃までは一般的な国内旅行(ある地域とある地域へと旅行する)の需要はなく、来年後半までは訪日インバウンド旅行の需要はないものとして、対応していかなければならないことが予想されます。
こうした中で、ポストコロナの観光再興プランとして、効果的な施策を2つ挙げていきます。
ポストコロナの観光再興プラン①「地元泊」
自粛要請が解除されたあとも、しばらくの間は都市から地方への移動については、ややネガティヴなイメージがつきまとうのではないか、これまでのような都市部に向けたプロモーションはしばらく打ちにくい雰囲気になるのではないか、地方に住んでいる一人として、と感じています。残念ながら。
一方、長期間にわたる #StayHome によって、多くの人の外出欲求は高まっているでしょう。
また、普段は会社勤務の家族が在宅勤務になって一日中家にいることになり、主婦/夫の方にとっては、ストレスも蓄積されていることかと思います。
とすると、今、観光業がプロモーションすべき相手は、地元の人たち、隣町の人たちなのではないでしょうか。
地元の人たちに、地元の旅を楽しんでもらい、地元の宿に泊ってもらう、そんな古くて新しい観光を提案していかなければなりません。
そのためには「遠い街に来て帰れないので宿泊する」のではなく、「日帰りできるけど宿泊したい」と思ってもらえるような、ラグジュアリーな体験を提供する必要があります。
それは主婦/夫の方を家事から解放することかもしれませんし、在宅勤務に飽き飽きした会社員の方が気分を一新して働ける環境を提供することかもしれません。
自社のリソースをどう活用すれば、地元の人が遊びに来てくれるか、泊まりたいと思ってもらえるか、ぜひ改めて考えてみましょう。
ポストコロナの観光再興プラン②「バーチャルトリップ」
筆者は今年3月中旬、インドネシアに行く予定だったのですが、残念ながらCOVID-19の流行により見送ることになりました。
が、現地のバリでガイドしていただく予定だった小野寺さんとその後もミーティングをするなど連絡を取り続け、GW最終日にオンラインでバリの街を案内してもらう「バーチャルトリップ」を開催していただきました。
小野寺さんとインドネシアに行く予定だった日本メンバー3名(高校教師の江藤さん、吉川さん)とでZoomにて接続し、小野寺さんとおしゃべりしながら、バリの街並みを眺める、というイベントです。
動画でご覧になりたい方はこちら▼
開催の経緯や当日の様子などは吉川さんが詳しくまとめてくれていますので、興味がある方はこちら▼
いずれCOVID-19が収束したらインドネシアには必ず行くつもりなのですが、それがいつできるようになるかは、正直わかりません。
しかし、オンラインでも現地の方とつながることはできるのです。
日本でも需要が伸びていた訪日インバウンドですが、これが回復するのは来年以降、それなりに先になるでしょう。
が、だからと言ってここ数年築いてきた海外とのつながりやネットワークを絶やしてしまうのは、とてももったいないことだと思います。
だからこそ、オンラインを上手く活用して、これまでのつながりを維持していく、むしろ新しいつながりを開拓していく、といったことがポストコロナの観光には求められるようになるでしょう。
ポストコロナの社会を考え、ビジョンを示し、行動する
決して体系的なプランではありませんが、ここまで「ポストコロナの社会を考える中で、観光はどうなるんだろうか?何が求められるんだろうか?」と最近考えていたアイデアを綴りました。
それとともに、ポストコロナの社会はどう変化するか、その中で地域としてどう適応していくのか、そのビジョンを地域のリーダーが示すことの重要性をひしひしと感じています。
筆者自身は、地域を牽引するポジションにはありませんが、地域を構成する大人の一人として、自分なりのビジョンを描き、それに基づいて行動していきたいと考えています。
筆者自身も3月の売上は前年同月比で90%減少しており、このままでは早晩立ち行かなくなる可能性が十分にあります。
その中で、新しい事業を2つ立ち上げ、絶賛営業中です(冒頭でも触れた以下2つの事業はこの4月に立ち上げたばかりです)。
名札型バーチャル背景「バーチャル名札」
ウェビナー専用ツール「コクリポ」販売代理店
こうした取組が功を奏するかはまだわかりません。
新しいことを始めるよりもコストを削減しながらじっと耐え忍ぶ方が正解だった可能性もあります。
が、座して死を待つくらいなら駆け抜けて前のめりに倒れよう、という思いが勝りました。
もちろん、たくさんの従業員さんを雇用されている企業さんは筆者と比べ物にならないほど苦しい状況にあるとお察します。
しかし、望むと望まざると、我々はいま時代の転換点にいます。
過ぎ去ってしまった日々に思いを馳せるのではなく、ポストコロナの時代の流れに正面から向き合い、適応していくしかありません。
やっていきましょう。
参考文献
・観光庁『観光白書(令和元年版)』(http://www.mlit.go.jp/statistics/file000008.html)
・観光庁『訪日外客数(2020年3月推計値)』(https://www.jnto.go.jp/jpn/statistics/data_info_listing/pdf/200415_monthly.pdf)
・株式会社東京商工リサーチ『「新型コロナウイルス」関連倒産状況【5月1日17:00 現在】』(https://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20200501_06.html)