見出し画像

#1.はじまり

―連載マガジン『ポンコツだらけの音楽会~私の夢の叶え方』第1話。
この話は覚えている限りの記憶を掘り起こして書きました。
なぜ、私がイベントを主催することになったか。
そのルーツは小さいころから抱き続けてきた夢にありました。
ここに記載する事実を、作り話だと思う方もいるかもしれません。
でも、実際に私が体験した話であり
夢を叶えるために起こした行動と軌跡です。
ぜひ、読んでいただけたら嬉しいです―

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

渋谷のスクランブルを渡り、センター街を全速力で駆け抜けた。
土曜日の渋谷はカップルや家族連れ、女の子グループなど様々な人で溢れている。

センター街を抜けると、私は東急ハンズを探した。
渋谷なんてほとんど来ない。ここはまるで迷宮だ。

「どこ…」

その時メッセンジャーが届いた。

『ハンズ近くのサイゼリヤにいるよー』

夏の日差しが容赦なく照り付ける。
お店に着いたらなにか冷たいものでも注文しよう。
喉に刺激の少ないものにしないと。
きっと彼は一杯やっているだろうな。
そんなことを考えながら私はサイゼリヤを探した。

休日のサイゼリヤは店外に列ができるほど人が溢れている。
この列に並んでいるのだろうか…
いくら探しても見つからない。
並んでいる人の列をかき分け店内に入った。
窓際の方に見たことある顔が並んでいるのを見つけた。

「遅くなってごめん!」
「娘ちゃん大丈夫だった?」
「最初は泣いていたけど、出かけるときはバイバイしてくれたよ」

娘のことを気にかけてくれる優しさに感謝しながら、
私は席に着いた。

「嬢、ごめん。先に一杯やってる」
「そうだと思った」

運営メンバーのひとりである『タッキーさん』が赤ワインを飲んでいる。
『ちかちゃん』は、印刷してきてくれたリストと経費袋の中身を確認してくれている。『とみさん』はチケットの取り置きリストを再確認している。
この3人、+私が『ポンコツだらけの音楽会』の運営メンバーだ。

今日は本番当日。
ライブハウス『渋谷チェルシーホテル』で開催することになっている。
私たち4人にとって、3回目のイベントだ。
ここまでこれたのは、3人がいたから。

私は1児の子持ちワーママ。
30歳を過ぎるまではごく普通の人と変わらない。
30代女性の子持ちママの生活をしていた。
でも私には、諦めきれない夢があった。

一度でいいから、ステージに立ちたい。

スポットライトを浴びて、
沢山の人の笑顔が見たい。
その思いをみんなで共有できたら、
どんなに楽しいか…

はじまりは、そんななんてことない思いからだった。
それが輪を広げ、同じ思いを持つ人々を繋ぎ
今に至る。

「さて、そろそろ行こうか」

とみさんの一声で、
私たちは席を立った。

今日もまた、あの『優しい空間』が
私たちを待っている…


この記事が参加している募集

スキしてみて

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?