ダイアログインタビュー ~市井の人~ 若松真哉さん「愚直に人と関わる」6

――週刊誌はともかく(笑)、相当読書好きなんですね。

若松 読書は好きですね。出張の多い仕事をしてた頃は、移動の電車の中でよく本を読んでました。まぁ出張の前日はどっぷり酒も飲みますんで、移動中に寝ちゃう事も多いんですけど(笑)。

――移動と言えば本ですしね!

若松 ですね! たまに常磐線で「スーパーひたち(かつて常磐線を走っていた特急電車の名前)」に乗ったりなんかして「あ~このままこの電車に乗って行ったら、原ノ町駅(南相馬市原町区にある駅。以前は「スーパーひたち」の終着駅だった。)までは帰れるんだな~。」なんて事を思ったりしてました。あの頃、いわきまで出張で来る事もありましたから。

――そうだったんですか。

若松 んである日の帰りの電車で「ヨシ! 今日は良い仕事したな! 帰りは酒でも飲みながら帰るか。」と五百ミリリットルサイズのビールを二本飲みながら読んだ本が「世界の中心で愛を叫ぶ」で。酔っぱらいながら読んでて、そのまま電車の車内で一人で号泣するみたいな(笑)。

――その感じ、分かる気がする(笑)。

若松 たまにフィクションの小説も読みます。普段はノンフィクションやビジネス書が多いんですけど、たまに心を洗う為にね(笑)。

――ジャンル問わず本が好きなんですね。

若松 ただ最近は全然読めてないですね。忙しくて。朝は早いし、夜は子どもたちを風呂に入れて二一時には寝ちゃう生活です。

――朝は何時起きなんですか?今朝も結構早い時間にメールしたのに、すぐに返事が来てびっくりしたんです(この日筆者は若松さんに早朝五時半ごろメールを送っている)。今朝は早い時間にごめんなさい。

若松 いや~全然大丈夫大丈夫! 最近は何も無くても六時前には起きてます。朝の早い時間は電話もかかってこないし、お客さんも来ないんで、事務作業やブログの更新など、集中して出来るんです。俺も「失礼かな」などとは思いつつ、早朝の五時半とかにメールしちゃったりする事もあります。「目ぇ覚まさないでくれよ」なんて思いながらね。日中は忙しくてメール出来ないんで。それにしても、昔と違って随分早起きになりました。うん、昔と全然違うなぁ。

――醸造所って、夜も寝ずに作業してるようなイメージがありますけど。

若松 時期にもよりますね。八月は割と時間が取れる……はずだったんだけど、今年は忙しかったんだよな。お祭りの手伝いなんかをしてましたんで。

――この間も「もとまつり(原町区で8月の終わりに行われた祭)」に出店してましたね。

若松 「もとまつり」も出店しましたし、他に「やるしかねえべ祭(八月に新地町で開催された祭)」と、この間小高区で行われたイベントに「ソウソウピザ(相双地域で作られた産物を具材にして作った創作ピザ)」で出店したりして。

――そんな事もやってたんですか。ソウソウピザ…名物になりそうですか?

若松 味の評判はすごく良いんだけど、ポイントは運営側の人員体制づくりかな。相双地域は人手不足ですからね。エリアが広いですし、おまけに遠くに避難してる人も多いし。

■ ピザ以外にも若松さんは、醸造所である事の強みを活かした、甘酒をベースに作った発酵飲料「かしまスィートむらさけ」の販売などでイベント出品していたりする。この「かしまスィートむらさけ」のイベントでの販売は、商売としては赤字だったそうで、成功とは言えなかったようだ。
だけど若松さんはこう言った。「とにかく最初から最後まで取り組んでみなければ、分からない事もある。」と。そう、物事を事前に完璧にシミュレートする事など出来ないし、シミュレーションだけで周りの人を動かす事も出来ない。まずはやってみる……このあたりのやり方は、サラリーマン時代から様々なことに泥臭く愚直に取り組んできた若松さんらしいやり方だなと感じる。
インタビューはこれ以降、そういった話で進んでいく。

~続~

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