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デザインの視点で見てみよう【第2回 ことばじてん絵本】

ちょっとした美術・デザイン解説の視点で戸田デザイン研究室の作品を紹介する連載「デザインの視点で見てみてよう」。
今回ご紹介するのは『ことばじてん絵本』です。

小さな子どもたちが初めて覚える大切なことばを、五十音順で紹介するこの作品。

ページをめくると、小さいながら鮮やかなイラスト・ことばがワーっと展開します。その数なんと600語以上!大きなページいっぱいに広がる楽しさは、子どもたちに大好評です。

『ことばじてん絵本』の魅力は、これだけではありません。
ことばのセレクト、それを表すイラスト。この表現に大人も素通りできない独特な魅力があるのです。

例えば「こうえん」「となり」。

「こうえん」は遊具で元気に遊ぶ子どもたち、
「となり」は仲良く並ぶクラスメイト。などが絵本らしい気もしますが…。『ことばじてん絵本』は大人のムード。2人だけの素敵な時間を感じさせます。

かなり詩的な表現もあります。

「こころ」に漂う深い慈愛…。まるで聖母のようです。ハートの絵で可愛く描かれることも多い中、全てを静かな母性で包み込むようなアイコンで表す絵本はなかなかありません。

そして少年と鳥を描いた「ともだち」。
別の生き物だって、心が通い合えば大切な友達です。

最後は“そうきたか!”と思わずにはいられないものをご紹介します。

ベルトで表現した「みじかい」。ウエスト周りから太ってしまったのでしょうか…。
明日を指差すような「みらい」は、見ているだけで訳もなく希望と明るさが広がります。

子どもたちはもちろん、大人の心もくすぐる独特の表現世界。
作者自身が「これだ!」というものを追い求め、その過程を楽しんだからこそ生まれるオリジナルの魅力です。

既にご購入いただいた方も、これからご覧いただく方も、ぜひ、この唯一無二の面白さも味わっていただけたら嬉しいです。