見出し画像

山で逢えたら No.004 -諦めた乗鞍岳-

まだ登山を始める前の2014年、初秋。

初めて乗鞍岳に行きました。

そもそも登山をするつもりはなく、旅の目的地は上高地。

「朝靄の大正池で写真を撮りたい」その為に向かったのですが、

しかしなんといっても上高地は宿代が高い。

うーん。。。

そこで一泊目は乗鞍高原のペンションに泊まり、二日目に大正池に行くことにしたのでした。

乗鞍高原を選んだのも「比較的上高地に近い」ことと「高原で写真を撮りたい」という理由。

乗鞍岳?あーあるんですね〜山がね〜。というくらい山には興味がなかった。

画像1

電車とバスを乗り継いで、たどり着いた乗鞍高原。

シーズンオフの雨の日は人がいなく、寒かった。

百均のレインパンツはおしりが破け、

ショート丈のゴアテックスのトレッキングシューズはずぶ濡れに。

なんだか寂しい夏休み。

画像2

だけど翌朝、部屋に差し込む光に嬉しくて飛び上がった。

晴れた!

私達は顔も洗わずカメラを持って庭へ飛び出し、朝食の時間まで夢中でシャッターを切った。

朝露に濡れた植物が輝き美しかった。

朝食後、「今日はこれからどうするの?」と話しかけてくれた宿のオーナーさん。

「今日はこれからバスに乗って上高地へ行きます」と告げると、

こんなにいい天気なのに、乗鞍岳へは行かないのかい?ここまで来て、この天気で乗鞍岳に行かないなんて勿体無い!ぜひ行くべきだ。○時○分にバスが出る。バス停まで送るから今すぐ支度をして!

そんなにおすすめなら!と15分で身支度、車に乗り込みいざ出発。

バスの中でコンタクトレンズを装着したくらい大慌てだったのが忘れられません。

乗鞍岳畳平バス停は日本一高いところにあるバスターミナル。

自分の足で登らなくても、バスに乗っているだけで標高2,702mの山の上まで行くことができます。

こんな高い山の上まで来たのは人生初。

バスの車窓からの景色がどんどん変わり「すごいところに来た!」と感動しました。

畳平から行ける山頂がいくつもあるから、どれか登ってきたらいいよ。

宿の方がそう教えてくれたので、調子に乗って一番高い剣ヶ峰を目指す事に。

バス停から剣ヶ峰までは片道1時間30分。

平地感覚で「楽勝!」と思っていた私です。


PNGイメージ

晴れていた空も雲が広がり、あっと言う間に真っ白に。


肩の小屋を過ぎ、見下ろせるくらいまで登ったところで、過呼吸になってしまって、どうにもこうにも動けない。

おばあちゃん世代の方々や、小さな子どもにもヒョイヒョイ抜かされていく中、私は座ったまま立ち上がれないくらい苦しかった。

自分はこんなに体力がないんだー。

それを思い知る経験になりました。

こんな山の中でもしも倒れたら迷惑をかける事になる。

そう思い、残念だけど引き返す事に。

上の写真はここまで来たんだ、その記念で撮りました。

重さ、3キロもあるカメラ、Mamiya RB67で…。
(体力ないのにそんなの持ってるから登れないんだよ、と当時の自分に教えてあげたい。でもこのカメラだからこその写真ってあるのよね。)

登れなくて引き返した。

わざわざ重たいカメラを持って行ったのに、雨の中頑張って撮ったのに、いい写真が撮れなかった。

この旅の後、すっかり意気消沈してしまったのですが、それが後に自分の足で初めて高尾山に登れた喜びに繋がっている気がします。

***

今回の写真はすべて、その時撮った乗鞍高原と乗鞍岳での写真。

今振り返ると、いい写真が撮れてなかったなりに、それでもいいんじゃない?と思う自分がいます。

下手でもなんでも、やっぱり撮りたいと思った時にシャッターが切れるのはその時しかない。

二度とない瞬間を残すって写真の醍醐味の一つですね。

Date:2014.9.1&2
Location:乗鞍高原(1,2枚目)、乗鞍岳(3枚目)
camera:Mamiya RB67

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?