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そして蓮根のように生きるのだ

自分が死んだ後、どんな人間として記憶されたいですか?

不意にね、読んでいた本に問いかけられた。
不意打ちすぎて、ドッキドキ。

ああ、そういや昔、
もし自分が何らかの変死をして(嫌だな!)
警察の人がご近所に聞き込みに回ったのち、
私は、あのホワイトボードに顔写真を貼られた上で(いい写真を使ってくれ)
何と書かれていくんだと思った事がある。

で、その本曰く
若いうちは分からなくて当然。
でも、50歳になってもこの質問に答えられなかったら、間違った人生を送ったと考えていい。

すぐじゃん!私、50歳わりとすぐ来そうなんですけど!
なにそれ、もっと早く教えといてよ!

となったので。
ちょっと考えることにしてみた。

とにかく気持ちのよい人

まぁ、まず簡単な理想でいこう。
生きていくのに、不快なことやしんどいこと、不安になっり、焦ったりすることは多々あるけど、

「なんか、あの人と話すとスッとする」
「ちょっと落ち着く気がする」
「気持ちが良いんだよあの人と話すと」

いいねいいね、こんな風に語られたい。
で…?具体的に何したらそう語られるんだ。
これって、人間同士の相性も重要だぁな。
突き詰めると、しんどい日もあるかもしれん。

「おっ!」の人

先日、某ハンバーガーショップにて、注文を終えたのち、娘にレシートを持たせて
「いい?この番号が出たら、商品を受け取ってね」
そう言い残して、トイレに駆け込んだ。

トイレから出ると、商品を受け取るには受け取ったが、トレーを渡され、困惑している娘がいた。
テイクアウトして、今から公園!と言うところだったので、娘は「これが本当に我が家の物なのか?」と不安になっていたらしい。

そういや、放尿することで頭がいっぱいだったし、お互いマスクで聞き取りにくいし、テイクアウトが伝わらなかったかも!
私は、娘からトレイを預かり
「ごめんなさい、テイクアウトの袋に入れてもらえますか?」と店員さんに言った。

「もちろんです!」

お昼の混雑MAXの店内で、店員さんは、それはもしかしたら、マニュアルかもしれないんだけど、気持ちのいい通る声でそう言った。

「いいですよ」とか「あ、すいません」と言うだろうなと、なんとなしに想定していた私は、「おっ」
なんだかいい。その言葉。
不安な顔だった娘も、ニカッと袋を受け取っていて、「おっ」いいね、その顔。

また、別な日。
とあるお店で、1人でランチをする女性。
背中を丸めて携帯に夢中になってた。
特別、何の感情もなく、視界に入ってただけの女性なんだけど、
料理が運ばれて来たら、すぐさま携帯を退けて。

背中をスッと伸ばして、料理に手を合わせてから、食べ始めた。

もしかしたら、ものすごくお腹が空いていて、携帯どころじゃなかったかもしれないんだけど、
私は「おっ」
なんかいい、その背筋の伸ばし方
そのお料理への敬意。
美味しそうだとしみじみ思った。

「おっ」は、少し、温かい。

そうだ、なんとなしに生きてるけど、
私も、道ですれ違う人、
たまたま店内に居合わせた人、
それからもちろん親しい人や家族から、
時々たまーにでいい。

「おっ」って思われる人になりたいかも。

それは蓮根のように

唐突だけど。
「おっ」って言うのを考えていたら、それは蓮根に似ている気がした。

柔らかい鶏つみれを口に入れたら、刻んだ蓮根がいい食感になっていて、ちょっと嬉しかった時。

蓮根を初めてすりおろした時の、思ってたのと全然違うトロトロ食感になった驚き。

カレーに添えられた福神漬けが蓮根だった時のアタリ感。
ついでに素揚げでカレーに入っているのも最高。

煮ても焼いても炒めても美味しいあの子!
お正月には「先が見通せる」と、縁起物の地位を持ってるあの子!

ちなみに茨城は日本一の蓮根の産地という情報も加える。回者か。

単に好物。ってゆうところが強いのだが。

あの、泥の中に咲く、清い花。
あの姿もまた、蓮根の素晴らしいところ。

例えばどんなに泥臭くもがいていたとしても
残す姿が最終的に美しくあるならば。

それはもう理想的。
理想よりさらにグッと上ゆく理想だ。
「おっ」を超えて「おおお…っ」だ。

そしてあの子のおばあちゃん

そうそう、忘れちゃならない。
映画「モアナ」に出てくるモアナのおばあちゃん。
夏木マリさんの声もすごく良かった。

あのおばあちゃんのように。
自分の受け継いできたものを(何かはまだ分からない)その後に繋いでいく、あの生き様がとてもカッコ良いと思っております。

大地の恵みをしっかり受け入れて、
自分の血肉として消化し、
次の世代に間違いをそれとなく正し、諭し、
かつ自由に、寛大に。
そして、自分の命を悟って死にゆく。

「私が死んだら、エイになって戻ってくるよ」

私も言いたい!

「私が死んだら、蓮根になって戻ってくるよ」

ベッドで見守る家族「は?」

いやいや、待って。
よく聞け私の蓮根に至った経緯を!

ということにならない様に。
もうちょっといい例えばなしをちょいちょい考えつつ、
自分の理想の人生を模索しておこう。

「蓮根みたいな人だったねぇ」
と、記憶されて、
食卓で、両手を合わせてもらえたら、これ本望かもしれない。

そうなれるよう、
まだまだ迷え、私。

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