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さようなら建築家の君。

30年前に見た、なれなかった建築家の夢。

建築家になれたと今でも思う。

謙虚さ足りないを承知で言いました。

向いてるとも思う。

傲慢さを自覚して言いました。

でもなってない。

この模型写真を見ると

今でもゾクっとする。

これ、意匠建築事務所を辞めて

無職の時に作ったもの。

だからダンボールでできている。

宛てもないのに思いだけ込めて。

静かな迫力がある。

もうひとつある。

湖に浮くボートハウス

その空に向かってあいた空間にかかる梁は

その空をも天井にしてしまいたい

意識の現れであり、

その梁はその空にかかる梁である。

単純に交錯する建築は、空・湖・空間を

複雑に交錯し反復させる。

あえて湖に窪みを創る行為というのは

創った窪みと湖が、

新たな関係を持つということである。

その新たな関係は、莫大なテーマである

自然との関係への可能性である。

朽ちてゆける建築であること、

それは自然を大切に思う摂理である。

季節により変化する湖面は、

時としてその創った窪みを池にしてしまう。

そんなせつなさもある。

二十歳前後の自分が並べた言葉。

…君は建築家になれたよ。

30年後の自分が見ても

ここに行きたいと建築心が覚めてくる。

私がスポンサーだったなら、投資するだろう。

見てみたかったな、湖に浮かぶ建築を。

静かな湖面にポツンとひとり

デッキで大の字に寝転び日を浴びる。

そのまま夜は星空にかわり

いつのまにか眠りに落ちる。

こんな場所が欲しい。

今でも褪せない魅力を感じる。

時を超える建築家になれたんだ。

さようなら建築家の君。

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