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【エッセイ】幸福本について



世の中には幸福について論じた本がたくさんある。

古典的名著とされている本に限ろう。
その中だけでも、アラン、ラッセル、ヒルティなど数多く存在する。アリストテレスの「ニコマコス倫理学」も、広義の幸福論として扱っていいかもしれない。(長くて難解だが)

一番有名と思われるのがフランスの作家アランの幸福論。
個人的には評価していない。
というのは、考える前からわかりそうなことを、あたかもいまさら発見したらしく書いているだけの本に思えるからだ。
もっとも、書かれた当時には斬新な考えだったのかもしれない。

スイスの思想家ヒルティの幸福論は異質なものかもしれない。
作者はキリスト教徒だ。
宗教的な考えや視点から幸福が論じられている。
鋭い指摘もところどころ見られる。
が、キリスト教の教義や知識に欠ける現代日本人には、縁遠い著作のように思える。
特に後半から一気に宗教色が強まる。

イギリスの哲学者ラッセルの幸福論も有名なものだと思う。
個人的には、少々おせっかいな内容もあるように思える。
内的生活を軽視しすぎているように思える。
とはいえ、全体としてバランスを強調する視点は評価に値すると思う。

上記3つの中で選ぶとするなら、筆者はラッセルによる幸福論を挙げると思う。

筆者がいちばん好きなのは、ドイツの哲学者ショーペンハウアーによる幸福論だ。 
「幸福について」については、いつか日を改めて読書感想文を書いてみたいと思っている。

加えて、昭和初期に活躍した哲学者、三木清の「人生論ノート」にも幸福に関する章が設けられている。

これも見逃せない幸福論だ。
短い文章による幸福論をと言うなら、筆者はまずこの著作を紹介する。

三木は言う。
「鳥の歌うがごとくおのずから外に現れて他の人を幸福にするものが真の幸福である」

じっくり味わうべき言葉だと思う。




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