踊るジョーカー|感想・レビュー|★3.5
読了したので、軽く感想を書いてみたいと思います。
概要
北山猛邦氏によるミステリ短編集となっており、以下の5作品が収録されています。
踊るジョーカー
時間泥棒
見えないダイイング・メッセージ
毒入りバレンタイン・チョコ
ゆきだるまが殺しにやってくる
気弱で自信の無い名探偵『音野順』と推理作家の『白瀬白夜』の2人が、ホームズとワトソンのような立ち位置で一緒に事件を解決していくという内容になっています。
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感想
どれも70ページ前後の短編として仕上がっていて、サクッとミステリが楽しめる短編集だと思いました。また、”物理の北山”らしく物理トリックが使用されている作品が多く、まさしく氏のミステリ作品だと感じます。
ホームズ・ワトソン形式のある意味では古典的とも言えるテイストではありますが、キャラクターが面白く描かれていて良かったです。主人公サイドの2人はもちろんのこと、途中から登場する刑事や警視もいいキャラをしています。
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そして、どの話でもミステリの醍醐味と言える”不思議で魅力的な謎”が掲示されているのがとても良かったです。
例えば、表題作の『踊るジョーカー』では殺人現場にトランプがばら撒かれた上に凶器のナイフにはなぜか沢山のトランプが刺さっていますし、『見えないダイイング・メッセージ』では被害者は何の変哲もない部屋を撮影して写真として残します。
どれもちょっと頭を捻ったくらいでは全然分からず、結局すべて謎を解くことは出来ませんでした……。
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個人的に一番気に入ったのは『時間泥棒』でした。
なぜか屋敷からアナログ時計ばかりが盗まれるという不思議な現象がミステリ要素となっています。デジタル時計や止まっている時計はなぜか盗まれないんですよね……うーん、ミステリです。
しかし、最後にはしっかりと説得力のある説明によって解決され、なるほど面白いと思いました(察しのいい人は途中で気づくのでしょうか?)。
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そんな感じで、個人的には気に入ったミステリ短編集でした。
欠点を上げるとするなら、「それ無理じゃね?」的なトリックも混ざっている点でしょうか。氏のミステリ作品を一度でも読まれた方なら何となく分かると思いますが。
なので、個人的に氏の作品を読む時は『名探偵コナン』や『金田一少年』といったアニメ・ゲームのような、わりと無茶なことでも上手くいってしまうという世界観という視点を持って読み進めるのがオススメです。
そうすることで、無茶な物理トリックも成立しうるという視点で推理できますし、トリックが明かされた時にも素直に納得できるような気がします。
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続編
続編の『密室から黒猫を取り出す方法』も読んでみたくなりました。
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ところで、氏は『ダンガンロンパ』のスピンオフ作品(全7作)も書かれています。
スピンオフと侮れないほどのクオリティを誇っており、元ゲームの世界観ということもあって技巧的な物理トリックも受け入れやすいので、ゲームをプレイ済みの方に限らずオススメしたいミステリ作品の1つです。
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あとがき
私もミステリを書いてみたいのですけれどね……全然ネタが思い付かなくて、以下のような変則的なミステリしか書いたことがありません。
コツをつかめば書けるようになるのでしょうか……なりたいものですね。
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