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朝のルーティンを確立するための、習慣化のメカニズム

「毎日の行動の40%以上が「習慣」によって決められている」

これは、デューク大学の学者が2006年に発表したもので、毎日の人の行動の40%以上が「その場の決定」ではなく「習慣」によって決められています。

つまり、良い習慣を身につけ、悪い習慣を減らしていくことにより、人生が劇的に変化するということは、議論の余地がないところですが、良い習慣を身につけるのは簡単なことではありません。

私も幾度となく習慣化に挑戦しましが、「朝、運動しよう」と思っても1週間続かなかったり、起きられなかったり、何度も挫折をしてきました。何とか習慣を身につけようと試行錯誤した結果、習慣のメカニズムを理解することで、意思の弱い自分でも朝のルーティンを作ることができました。

その結果、教員という多忙な職業の中でも、朝のランニングや、瞑想、動画撮影・編集、Noteの執筆など、今まで後回しにしていた、自己研鑽の時間等を確保することができ、余裕を持って生活することができるようになりました。

今回は、私が実践した習慣化の方法について綴っていきたいと思います。

□ 習慣化のメカニズム

習慣化とは「自分が続けたいと思っていることを、意思や根性に頼らずに無意識的に継続される状態に導くこと」です。

私たちは普段から無意識に習慣を身につけています。ハミガキ、お風呂、電車に乗る時間など、意識せずに行動しています。

なぜ、私たちは習慣を身につけるのでしょうか。

それは、私たちが意識して行えることには限界があるからです。習慣が形成されるのは、脳が常に楽をしようとするためです。脳はできるだけ介入を避け、決まった手順で何でも習慣にしようとします。その方が、意志力を節約できるためです。脳は、あるキッカケが入力されたとき、習慣にバトンタッチする巧妙なシステムを作り上げています。

脳の中で起こっているプロセスは以下の3段階のループです。

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第1段階は「トリガー(きっかけ)」です。

これは脳に自動作業モードになるように、そしてどの習慣を使うかを伝える役割を持ちます。

第2段階は「ルーチン」です。

トリガーに反応して起こる慣例的な思考や行動で、身体的なものであったり、脳や感情に関わるものだったりします。

第3段階は「報酬」です。

ルーチンによって得られて報酬が、次第に欲求へと変わり、次のサイクルを回すためのトリガーとなります。

例えば、メールの例では、スマホがメールの新着を告げる音や通知を出すとことで、メールを開くことによる束の間の気晴らしを脳が期待し始め、チェックせずにはいられなくなります。そのような状態が続いていくことで、ルーティが形成され、習慣のループが回っていきます。

上記の習慣のメカニズムを理解し、上手にトリガーや報酬を作っていくことで、自分の行動をコントロールすることが容易になります。

□ 習慣の種類

習慣は、行動習慣、身体習慣、思考習慣に分けることができます。

行動習慣・・・勉強する、日記、瞑想
身体習慣・・・運動、ダイエット、早起き、禁煙
思考習慣・・・論理的思考力、ポジティブシンキング

どの程度の期間で習慣が身につくかは、おおよそ行動習慣が約1ヶ月、身体習慣が約3ヶ月、思考習慣が約6ヶ月、かかると言われています。

おおよそ、この期間を継続することを目標にすることで、無意識に行動することができるようになります。

□ 習慣化をはじめる準備

① 目標設定

習慣化を始める前に1番大切なのが目標設定です。目標設定がしっかりしていない状態で、いくら習慣化をしようとしても、ほぼ100%失敗します。

ここで言う目標とは「成果を定義すること」です。

大事なのは何のために習慣を身につけるのか、習慣を身につけることでどんな成果を得られるのかを具体的に考えることです。

② マインドセット

◎ スモールステップ

習慣に失敗する大きな要因は、行動のハードルを上げてしまうことです。どんなに小さな行動でも毎日続けることが重要なので、決して無理せず小さく始めることが重要です。

◎ 1つの習慣に絞る

欲張って2つ以上の習慣を同時に身につけようと失敗します。習慣を身につけるには、多くの意志力を必要とします。まずは欲張らず1つの習慣を身につけることだけに集中しましょう。

◎ 結果よりも行動に着目する

習慣化を始めたからといって、すぐに結果が出るわけではありません。例えば「10Kgダイエットするために毎日運動する習慣を身につける」という目標を立てても、すぐに効果を感じることはないでしょう。

結果や目標でモチベーションを高めることは効果的ですが、行動リズムを崩さないことが大前提です。まずは、結果よりも行動に注目することが大切です。

□ 習慣の身につけ方

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習慣を身につけるには、上記のループを回すための仕掛けが必要になります。先ほど説明したトリガーには「内的トリガー」と「外的トリガー」の2種類があります。そのうち、「外的トリガー」を上手に利用して行動と結びつけることが重要になります。

詳しく言うと、「外的トリガー → ルーチン → 報酬」を繰り返し、脳が報酬を期待するように仕掛けます。そして報酬への欲求が「内的トリガー」と変わっていくことで、習慣のループが無意識に回り出します。欲求による「内的トリガー」をいかに生み出していくかが、習慣化を成功させる鍵となります。

具体的に4つのステップについて説明していきます。

① 外的トリガー

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トリガーとは、何らかの動作を開始するためのきっかけで、行動を起こすための原動力となるものです。

外的トリガーの代表的な例が「目覚まし時計」です。朝起きる時ほとんどの人が「目覚まし時計」を使っていると思いますが、この「目覚まし時計」が外的トリガーとなり、起きるという動作を与えています。習慣化を身につけるためには、外的トリガーを上手に利用して行動と結びつける必要があります。

例えば、お風呂から出たら読書をする、カフェに来たら勉強をするなどです。私の場合、外的トリガーを3つに分類して組み合わせるという方法を実践しています。

◎ 行動トリガー

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1つ目が行動をきっかけにするやり方です。普段行っている行動をトリガーにして、習慣化したい行動と結びつけます。

例えば「歯磨きをしたら本を30分読む」など、既に習慣化している「歯磨き」という行動と、本を読むという行動を結びつけることによって、習慣を形成するという方法です。

◎ 場所トリガー

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2つ目が場所をきっかけにするやり方です。

例えば、通勤電車、オフィス、近くのカフェなど、この場所では必ずこの行動をするというのを決めておきます。場所と行動を結びつけることで、身体に一定のリズムが浸透し、行動が無意識のうちに行われやすくなります。

◎ 時間トリガー

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3つ目が時間をきっかけにするやり方です。

ランダムな時間に実行すると「うっかり忘れていた」と行動にムラが出るので、この時間にはこれをやるというのを決めておきます。時間を固定する場合は、できるだけ仕事やプライベートの予定に振り回されない時間帯を見つけるのが効果的です。

約束事として、どのトリガーも必ず1対1対応にするようにします。

当たり前ですが、他の行動と結びつけてしまうと習慣化が形成されにくくなってしまうので注意が必要です。理想は、行動トリガー+場所トリガー+時間トリガー、全てを習慣化したい行動と結びつけると強力です。規則正しくパターン化することで、生活リズムが身体に浸透し、習慣が身につきやすくなります。

② ルーチン

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ルーチンとは、トリガーに反応して起こる慣例的な思考や行動のことです。

思考や行動を引き起こすには、前述した通り、トリガーが重要なのですが、それ以外に重要な要素が2つあります。

1つ目が能力です。習慣化したい行動が自分にとって難しいものであったり、そもそも行動することが困難である場合(時間的制約、金銭的制約、社会的逸脱行為など)は、目標設定から見直す必要があります。

もう1つがモチベーションです。モチベーションは行動したいという意欲の強さです。高いモチベーションを維持するために、以下の行動が習慣化に繋がります。

◎ スモールステップで行動する

最初の内は必ずスモールステップで行うのが効果的です。毎日行動し続けることが重要なので、続けることだけに意識をします。

極端な話、本を読む習慣なら、本を開くだけでも最初はOKです。そのぐらい簡単でシンプルな行動から始めるのがベストです。

◎ 行動を記録する

行動を記録し続けることで、自分の行動を定量的に可視化できるので、モチベーションが増加します。

僕は、カレンダーにシールを貼っていくという方法を行っています。記録できれば何でも良いのですが、普段、目にするところに貼っておくと効果的です。また、記録することで客観的に分析することができます。行動できなかった原因について分析できれば、小さな努力で大きな結果を上げることができます。

③ 報酬

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習慣を強固なものにするには報酬が必要です。行動を起こしたときに、何かしらの欲求を満たすことができれば、次に説明する内的トリガーと行動とが結びつくきっかけとなります。

僕は、報酬を3つに分類し、状況に応じて使い分けています。

1つが他者と繋がることにより得られる社会的報酬です。例えば、Facebookの「いいね!」などの社会的承認などがこれに当たります。

2つ目が、専門的な技能や能力の習得などの本質的報酬です。

基本的に、本質的報酬は短期的に得られるものではありません。継続的に行うことで得られるものなので、僕のような意思の弱い人間が本質的報酬だけを求めると挫折します。

例えば、運動する習慣を身につけて体脂肪率を10%にするという報酬を目的としたとき、最初の何日間かは続けることができますが、効果が目に見えて現れないことから挫折してしまう人が少なくないと思います。

そこで3つ目の報酬の物理的報酬を使います。

1週間運動を続けたら、自分へのご褒美として美味しいものを食べるなど、短期的な報酬を自ら作ることで挫折を防ぎます。

④ 内的トリガー

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内的トリガーは、目覚まし時計などの感覚の刺激を利用するものとは異なり自動的に心に表れるものです。脳が報酬を期待するようになって初めて内的トリガーが生まれます。内的トリガーには、ポジティブな感情とネガティブな感情があるのですが、経験則的にネガティブな感情のほうが、行動を引き起こす強い原動力となります。

ネガティブな感情には、退屈、孤独、不安、不満、混乱などの感情がありますが、まずはこの感情が習慣化したい行動の報酬によって解消される必要があります。ポジティブな感情も同様です。

例えば、サッカー観戦の習慣によって、他のサポーターと喜びを共有するという報酬を得られ、「孤独」というネガティブ感情が解消されたなどです。外的トリガー、行動、報酬が結びつき、内的トリガーによって新たなループが作られたとき、それは習慣化の成功を意味します。

□ 私が実践した運動習慣の形成方法

人よりも多くのことを達成している人は、朝の時間を大切にしています。特に朝のランニングは、セロトニンが活性化し、体内時計がリセットされ、自律神経が整えられます。セロトニンが活性化すると、清々しい気分となり、意欲がアップし、集中力の高い仕事が期待できます。そのため、朝のランニングを習慣化するため、以下のことを実践しました。

① 報酬の設定

習慣を身につけるには、明確な報酬を設定する必要があると説明しましたが、自分の場合、運動後の集中力UPを報酬に設定しました。

それ以外ですと、

・ランニングをしたら、美味しいランチを食べる
・走行距離を記録して達成感を得る
・体脂肪率を10%にする

などの報酬でも良いと思います。

ただ、即効性のある報酬に設定するのが望ましいです。なぜかというと、例えば運動して10kg痩せるを報酬に設定すると、1週間経っても効果が得られない場合があります。そうなると、モチベーションも下がりますし、報酬に対する欲望が生まれづらくなります。なので、長期的な目標を立てるのもアリですが、短期的に効果の出る目標も一緒に立てるのがオススメです。

② 具体的なルーチンの設定

自分は、運動後の集中力UPを報酬に設定したので「週3回、有酸素運動を20分行う」というルーチンを設定しました。

必ず、毎日なのか週3回なのか、20分運動するのか1時間なのか、定量的に測れるルーチンにするのがベストです。

もう1つ重要なのが、スモールステップで始めることです

習慣に失敗する大きな要因は、行動のハードルを上げてしまうことです。どんなに小さな行動でも毎日続けることが重要なので、決して無理せず小さく始めることが重要です。

③ 外的トリガーを設定する

次に外的トリガーを設定します。

例えば、毎朝、走りたければシンプルなきっかけを作る必要があります。

・ジョギングウェアをベッドの横に置いておく
・朝食の前に、スニーカーに紐を結ぶ
・ジムに行く

重要なのは、きっかけを得た瞬間にすぐ行動できるかどうかです。

④ 報酬への欲求が芽生えるまで続ける

①、②、③が設定できたら、ひたすら外的トリガー → ルーチン → 報酬を繰り返します。

これを繰り返すことで、脳が報酬を記憶し、報酬への欲求が生まれます。

私の場合、集中力をUPさせて生産性を高めたいという欲求が、有酸素運動をすることにより解消されることを脳が早い段階で記憶し、欲求が「内的トリガー」となって習慣化のループが形成されたため、通常3ヶ月かかる身体習慣を2ヶ月で身につけることができました。

□ おわりに

習慣に支配された人生を送るのか、それとも習慣を上手に身につけ使いこなすのか。私たちの選択次第で人生が大きく変わります。小さな習慣でも身につけることで、大きなメリットを得ることができます。皆さんも、今日から新しい習慣を始めてみてはいかがでしょうか。

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