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38夜 子どもは大人をみていることを,大人はわかっていない(1)・・・

 連日のように,政治資金の裏金問題がメディアを賑わせている.政治の問題に関して素人の筆者から見ても,こういった政治資金の問題は今に始まった話ではなく、ずっと前から様々に形を変えてあったのだろうと思ってしまう.いわゆる「政治にはお金がかかるのだ.」という一庶民にはよくわかない定番の言葉のもとに,政治とお金の問題は続いているのだろう.それを前提にして「お金がかかるのは理解できるから,透明性をきちんとしましょう.」とおっしゃる識者の方々がおられるが,どうしても「お金がかかるのなら,お金がかかる部分をやめればいいのに.」と思ってしまう.そうすると「当選しない」ということなのか?ならば、原因は結局のところ有権者なのか?よくわからないなあ.
 ところで,今年5月,日本財団が10歳~18歳の子供1万人を対象にした意識調査の結果を公表した.4月に施行された「こども基本法」にかかわる調査で,子供の権利条約に関することや社会が子供のために取り組んでほしいことなど,こどもが自分の置かれた状況をどう考え,どうなることを望んでいるのかについてこどもの意見を聞いたものである.政治にかかわる人や子供にかかわる人は,是非この調査結果をよく読んでほしい.
 例えば,「今や将来の生活を良くするために,世の中のどんなことを変えるべきだと思いますか.」という設問では,17.7%が「経済面の支援」を,10.7%が「政治改革」を,同率で「平等な社会」を挙げた.大人の意見に関して,子供にバイアスがかかることを差し引いても,ごもっともな意見だろう.
 自由回答のなかにある「うちは経済的な理由もあり、大学には行かせてもらえません。専門学校も奨学金などで、後で自分で支払う形で行きます。学ぶ機会は、 貧富の差で平等ではないと思います(17歳)」というコメントや「大学にいきたいと思っているけど、うちはあんまりお金がないから行けないかもしれない。」という12歳のコメントをみると,少子化に向かう事は何年も前からわかっていたことなのに,私たち大人はいったい何をしてきたのだろうと思わずにはいられない.
 また,「不公平感をなくして欲しい。正直者が馬鹿をみる世の中にはうんざりです(18歳)」という意見もみられた.私たちの社会が平等ではないことは今に始まった事ではないが,少し前までは,不平等ではあってもなんとか自己実現に向けて展望を持てる社会であったように思う.「明日があるさ」という歌ではないが,わずかながらも将来に期待しようとする社会であったし,筆者も様々な支援制度のおかげで多少なりとも学歴を身に付けることができたひとりだ.
 12歳のコメントにある「日本人として生きて行くことでワクワクできる夢のある日本にしてほしい。国会をみても相手の揚げ足をとったような討論ばかりでもっと大事な 夢のある討論、話し合いをして欲しい。もっとお互い協力できないですか?」という言葉からは,大人は謙虚に反省できないのかという大人の姿勢が問われているような気がする.私たちは社会において「至誠」であることの大切さを,今一度刻むべき時がきているのではないだろうか.「大人の社会はそう簡単ではないのだ.」と言い訳をしても子供は見ているのだ.
 「どうせ何も変わらない.」という15歳のコメントに対して,筆者も含めすべての大人は答えなければならない.
 
 


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