恋愛感情じみたもの

私は昔、恋愛感情を持っていると思っていた。

保育園の時、好きな男の子が二人いた。うち一人は今も連絡を取っている幼馴染だ。本当にその時は「好き」だったのかもしれないけれど、今考えるとそれはただの「友愛」だったのではないかと思う。

なんで彼らが好きだったのかはよく覚えていなくて、多分遊んでいて楽しいからとか、顔がカッコイイからとか、そんな理由だろう。その頃の私は今ほど内向的な性格ではなくて、男の子達ともよく遊んでいた。

一人とは保育園を卒業して以来会うことはなくなったが、もう一人の幼馴染とは中学まで一緒で、そして未だに関係が続いている友人だ。会うことはなくても、母親同士が友達で、親を介して情報が入るなんてこともある。


失恋?

幼馴染に対する恋愛感情じみたものは、実を言うと中学まで持っていた。きっかけなんてものはなく、気がついたら好きだった。幼い頃はよく彼の家に集まって、一緒にゲームをしていた。ス○ブラとか、モ○ハンとか。

ある時、彼の友達伝てに、彼に彼女が出来たことを知った。私も知っている子で、明るくて可愛くて優しい、文句の付けようもない良い子だ。その時、私の中に浮かんできたのは「私の方が仲が良いのに」と「なんで私に言ってくれなかったんだろう」というモヤモヤだった。

当時、友情→恋愛感情だと思い込んでいたので、彼の親友を自負していた私は、私こそが彼の彼女に相応しいだろうという思いがあった(傲慢にも程がある)。誰かに先を越されるなどとは思いもしていなかったのだ。そして同時に、一番の友達に、どうして最初に言ってくれなかったんだろう、という寂しさがあった。

中学の修学旅行の時、旅館の女子部屋に詰め込まれた私は、そのかしましさに耐え切れなくて早々に布団に入っていた。話しかけてくれる友達に「眠いから」と嘘をついて会話を打ち切る。布団に潜った私の横で、別のグループの恋バナが始まった。

その会話の中で、彼の名前が出た。名前を出したのは、彼の彼女だった。それを聞いた私は、ようやく彼が「恋愛」をしているのだと実感した。彼女に彼を取られてしまったような気がして、私は布団の中で気づかれないように泣いた。いわゆる失恋の痛みというやつだ。


恋愛感情と友情の違い

その時の私は、私が彼を「恋愛感情として好き」だから泣いたのだと思っていた。実際、その時はそうだったのかもしれない。しかし、年数が経つごとに、彼への感情が一般的な恋愛感情とは違うのではないか、という風に思い始めた。

まず、キスをしたいと思わない。もちろんセックスも。触れ合いたいとも特別思わないし、想像してみてもしっくりこない。「好きだよ」なんて言い合いたくないし、どうせなら「一番の親友だよ」の方が言われて嬉しい。私の一番の幸せは、彼が結婚して子供が出来たら、彼の子どもの面倒を見ることだと思う。明らかに、恋愛感情とは違う。

大人になっても、一緒にゲームをする関係でいたい。彼に対する思いはそんな感じで、恋愛感情とは少し違う。良いパートナーにはなれそうだけれど、恋人にはどうやってもなれなさそうだった。


私と彼と今後

彼とは今も一緒にゲームをしている。最新作のモン○ンを買ってもらって、ゲームが上手い彼にキャリーしてもらっている現状だ。とても楽しい。そしてこれ以上は望んでいない。

望んでいないけれど、数年後に彼が「俺、結婚はいいわ」なんてことを言ってくる日が来たら、その時は「じゃあ、籍だけでも入れとくか?」なんて言ってやりたい。消えない繋がりとして、結婚は一番身近だし確実だ。いろんな恩恵も受けられそうだし。もし彼に好きな人が出来たら、その時は潔く離婚しよう。そして、彼の幸せな愚痴を聞いてやる関係でありたい。

全部私の妄想だけど、そんな未来は来ない方が、きっと幸せなんだろうな。


あるこ


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