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歴史に残る時代の因果

 世の中何があるか分からないものだ。
 情勢は突然深刻になった。

 感染症のパンデミックだけでも歴史に残る重大事項なのに、その前には3つの大震災と原発事故、バブル崩壊、リーマン・ショックと歴史的なことばかり。その他にも様々な災害や紛争があった。
 そしてロシアによる侵攻。
 この時代は後で歴史として振り返ると何冊分の歴史書になるのだろうか。

 ロシアによる侵攻はもはや戦争だ。この戦争に伴う恐慌が起きなければよいが無いという保証はない。
 私達からは侵略戦争に見えるこの戦争も、ロシア統治者から見れば過去に取られた領土を取り返すだけということかも知れない。だとするなら侵略では無く国益上の正義ということになる。
 ここまで計画的に武力を行使するということは、前々からかなり追い詰められていたということかも知れない。私には、歯をむき爪を立てている追い詰められた猫と重なっても見える。猫の方が無限に可愛いが。

 もちろん私は戦争賛成派ではなく、ロシアの侵略は正当化できる行為とは思って無いが、一度戦争状態に突入してしまえばもはや良し悪しの問題ではないだろう。悪いと言われて、そうですか、ならば止めます、なんていうくらいなら最初からやってないだろう。
 戦争をしている国に対してモラルを説くのは野暮というものだ。



 きっとこれまでに兆候があったのではないか。
 何か大きな事件が起きる度に言われることだ。
 こうなった原因を探れ、要因は何だ、いつの何がキッカケになっのだ。
 こういった原因特定のための追及はうまく行かない。なぜなら原因は一つではないからだ。
 私達は因果関係という考え方を学び、それがあたかも正しいかのごとく信じている。しかし、因果関係が成立するのは物事を単純化して考えた場合だ。
 科学では事を単純化して考える癖がある。例えば摩擦は無いことにしようとか、理想的な気体を想像してそれについて考えようとかいった具合だ。最近ではスーパーコンピュータがあるのでだいぶ複雑なものも扱えるようになったが、現実世界に比べればまだまだ単純で、色々なことを省略したモデルを使って検証される。
 単純モデルを使うのは、何かが起きるのは特定の何かが原因であると言いやすくするための工夫なのだ。

 国が戦争をするに至るまでにはきっと様々な蓄積があって、走り出すタイミングには何かのきっかけがあるのだろうと思う。何がきっかけになるかを予測することは当事者でも難しいはずだ。なぜなら、そうなるまでの事情が複雑であればあるほど、いくつもの要因が絡み合っているはずだからだ。

 ともかくも走り出してしまったものは容易には止められない。阻止する取り組みは今のところ上手く行っていないように思える。
 長引けば世界経済への影響はより甚大になる。そうなれば世界の中での経済体力が弱まっている日本はかなりのダメージを覚悟しなければならないだろう。
 いま、ガソリン価格が高騰していると話題だがこれでも安かったと言える時が来るかもしれない。資源価格高騰によるインフレは家計への影響も大きい。有事の円買いとなればまだ良いが、今のところ円高方向には動いていない。
 万が一円安が進んで、かつ、さらなる資源価格高騰が起きれば現在390円のビッグマックが2000円という日が近い将来やって来る事も可能性としてはあり得る。そうなれば満足に食事も摂れなくなってしまう。

 対岸の火事の火の粉がこちらに降り注ぐようになる前に火が消えてくれる事を願うばかりだ。それが同時に彼の地の国民たちの安寧に繋がるのであれば。

おわり



 

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