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映画『蜘蛛の巣を払う女』
幼少の頃の家庭環境が人に与える影響が大きいことは誰しも分かっている。特に虐待は成長を阻害するどころか、人間としての人格や尊厳を奪い、将来に渡ってまともな社会生活をする権利までをも奪う可能性がある。
運良く虐待から逃げることが出来て、実の親ではなくとも愛情を持って育てられたとすれば普通の社会に溶け込むことが出来る程にまではなるかも知れないが、過去の記憶はスマホのデータを消去するように簡単には消し去ることが出来るものではない。
もし逃げられずにそこに留まらざるを得なかった場合、親はもちろん社会を恨むようになってもおかしくない。それを仕方ないことと放置するのは良くないと分かっていても、心の内面に巣を張る障害は外からは見えない。いつの間にか蜘蛛の糸が増えて、姿は見えないけれどもどこかに蜘蛛が隠れていることに気付かされる。そんなものだ。
舞台はスウェーデンのストックホルム。
幼少の頃に引き裂かれた姉妹。
姉は虐待する父親と住む館から逃げ、妹は父親の元に取り残され囚われの身となった。
大人になった姉は、虐待する男性から女性を救う私刑執行人に、妹は悪の組織を率いる存在になっていた。
ミッション・インポッシブルとバットマンを掛け合わせたようなスパイ・アクション映画というと大袈裟だが、テイストとしてはその路線。
原作の小説がどうこうという話はここでは取り上げないとして、単純に映画を見た感想に留めよう。
まず、娯楽映画として楽しめはする。
アクション重視の娯楽に振り切っているのでもなく、主人公の内面を深掘りするというのでもないところは中途半端と言えば中途半端。
奪い返さないと世界が危ないという危機感はあまり感じず、だからこそ主人公達が巻き込まれ死にそうになりながら奮闘している姿にあまりドキドキしない自分がいる。
ハッピーエンドと言えばハッピーエンドだけど、スカッとした感じは無く、だからと言ってしみじみしたり、じーんとしたりするのでもない。
エンドロールが始まった瞬間に思うのは、まぁ、こんなもんかね、という程度の安堵感。
なので、感想もまぁこんなものかな。
おわり
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