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外国資本の工場が増える日本

 日本から国内企業の多くの工場が消えたと思っていたら、このところ外資系企業の工場が次々と建つ予定があるという。
 主に半導体関連の工場だから、特殊な知識と技能を持った人以外に雇用は期待出来ないだろう。それでも、工場の稼働を維持するためには様々な業種の関わりがあるから、そうした周辺事業を含めれば工場を中心にひとつの街が出来る規模にはなりそうだ。

 日本に多くあった工場の多くは中国や東南アジアや移転していった。それは日本よりも安い土地と安い人件費を求めてのことだった。それが今や、例え中国であれ東南アジアであれ、海外からみれば日本や安い国になったから、工場を建てるのには好都合ということなのだろう。

 ものづくり日本と言われた時代は遥か昔。今では外国人に使われながらでないと工場のひとつも維持できないということか。
 日本の人件費が安いことはさておき、日本が海外で活躍出来るような何かを生み出す国ではなく、外国企業にただ与えられたことを淡々とこなすだけの国になってしまったのは時代の流れを感じる。

 日本企業の中でも、社員は過度に合理的で、与えられた仕事はきちんと的確にこなすものの、会社に貢献しよう、社会に貢献しようという意気込みは少ない(それは既存の企業のことで、恐らくスタートアップ企業では意気込みに満ちた社員が多いだろう)。
 会社と個人の距離感は開くばかりで、ワークライフバランス、ブラック企業、ハラスメント、個人の権利といった頭でっかちな思想で我を守り、会社は仕事をして金を得るだけのところという冷めた感覚の人が多いように思える。
 もちろん、ブラック企業は駄目だし、ハラスメントが良い訳では無い。個人の権利は守られるべきだ。しかしその一方で、現在多くの企業では本当の意味でのブラックやハラスメントはかなり少なくなっている。問題は、残業や休日出勤が少しでもあればブラック、ちょっと嫌なことがあるとハラスメント、そして個人の権利が侵害されているかのように振る舞うのは過剰反応の場合もある気がする。

 何のための仕事なのか、どうして仕事をするとお金が貰えるのか、仕事をすることで社会にどういう関わりがあるのか。そういったことを考えずに、仕事をバイトの延長線上に据えて、ただ自分の生活のために日銭を稼ぐだけという考え方こそが、外国企業にとっては好都合に他ならない。
 
 ある意味で幸せな国であることには違いない。
 犯罪も少なく、平和で安全で、何一つ不自由無く暮らせる人が多い国だ。貧しい人も多くいるけれど、路上で野垂れ死にしている人がどれだけいるか。
 そのことが逆に、正規雇用の縮小、海外資本の流入、海外企業への労働力の提供、日本企業の衰退、国際競争力の低下といった負のスパイラルに陥るキッカケになりそうで怖い。

 今の日本がいい国であることは間違いない。
 しかしそれを造ったのは先人たちであり、その上で胡座をかいているだけだとしたら、子孫にいい国を受け継ぐことは難しくなる。
 子孫はいらないという人も多い中では何を言っても虚しいだけか。

おわり


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