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世界が目指す道は

 2022年の今年3月から急激に円安方向に進んだドル円は、7月に1ドル140円を目前に迫った。
 そして7月下旬に折り返して来て、上昇トレンドが終わるのか、というところまで来ている。
 円安の流れが終わるとなれば、この先に予想される物価高が多少は和らぐ可能性があり、家計にとっても期待値が大きいだろう。

 しかし、先週の円高方向への値動きによりトレンドラインを下方向にブレイクしたように見えるものの、一時的な調整局面であるだけという可能性も残っているから油断は出来ない。
 世界的には、インフレに伴った金融引き締めの動きから、景気後退の恐れが臭ってきており、金利と景気のバランスが難しい局面であることは変わらない。
 ウクライナでの情勢も未だ終息が見通せず、さらに中国の景気後退懸念が高まっており、世界経済はいよいよ分からなくなって来たとも言える。

 ここ日本においても、景気が良いのか悪いのかと言われれば、肌感覚では決して景気が良いとは言えないというのが実感であり、世界的な経済不安には蓋をして取り敢えずコロナの感染対策にいそしもうかといった感が否めない。
 夏休み、お盆休みと、本来ならば行楽を含め人の移動が活発になるシーズン。今年こそはという思いは裏切られて、今年もかと項垂うなだれている人も多いだろう。

 新しい資本主義を目指すとしている政府の経済政策はいまひとつ分かりにくいが、世界的にも現代が資本主義の転換点にあることはあながち間違っていない見方である気がする。
 その意味で新しい資本主義を目指そうというお題目は正しいのであって、それは政府が思い描こうとしているものとは違うかもしれないが、国民皆が思い描いておいた方が良いものかもしれない。

 資本主義はとにかくお金重視、お金を増やすこと重視になりがち。
 お金はお金が好きで、お金があるところでは増え、無いところでは減る。
 だから格差が生まれる。
 お金を有効に回して皆がハッピーになれるのが社会としては理想ではあるだろうが、それは資本主義の理想とは程遠いのが実情だ。
 偏りが生まれるのは資本主義の性質のひとつであるのに、それを是正する社会的な仕組みは乏しい。むしろ自己責任と言われて責められすらする。

 お金が集中することは資本主義自体にとっても好ましいことではないのが本来だが、究極的には自分さえハッピーなら良いという価値観を肯定してしまうのがこれまでの資本主義の現実。
 全体でひとつの経済ではなく、富める者とそれ以外という形に分断され、2極化され、それこそ住む世界が違う状態が、国内でも、そして国際的にも生じている。

 先進国に憧れる国は多々あれど、皆が先進国にはなれない。
 経済的にも、環境的にも、資源的にも制約条件が設けられていて、アンバランスを解消することは原理的に出来ない。少なくとも今の仕組みの延長線上では。
 これからの世界がどうあるべきか。どうすれば多くの人がハッピーな人生を送れるようになるのか。
 答えはまだ見つかっていない。

おわり

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