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Netflix『First Love 初恋』

 最初の一歩を踏み出すのを躊躇しない人はいない。迷いや戸惑いや、自信の無さに苛まれる。どうせ無理だとか、やっても無駄だという思いが遮ろうとしてくる。それでも、踏み出す一歩の先にしか無いものもある。

 きっと、背中を押してくれるのは見くれている誰かの言葉だ。君なら出来る、大丈夫だよ、凄いね。自分で気が付いていなくても、人からはそう見えていることもある。

 躊躇する間も無く突き進んでしまうような目的を見つけた時も人は変われる。これしかないと根拠の無い自信に包まれることがある。そうした目的のことを夢と呼ぶのかもしれない。

 
 どこか切ないのが初恋の定石だとすれば、それは過ぎ去ったことだからだ。初恋の人と運命を誓ったとしても、それが一生続くとは限らない。むしろ続かないのが普通だろう。経験としての初恋は甘くて苦い思い出として封じ込めておけば良い、そう思う向きもあるだろう。
 
 しかし、もし運命の断絶が無かったとしたら。
 時々、想い出してそう考えることがある。


 学生時代と大人になってからで配役が違うのは、もちろんひとりの俳優がそこまで広い年代を演じることに無理があることも理由だと思うが、それ以外の理由もあったように感じた。ストーリー構成上、年代別のダブルキャストにした方が効果的なのだ。

 ともすると、人によってはどこが良いのか分からないドラマだろう。どこが感動的なのか、なぜ涙すると言うのか理解が出来ないだろう。あくまでもドラマだよね、と切り捨てられるようなドラマかもしれない。
 けれど、恋愛という視点から離れて見たとしても、面白いドラマだと感じた。ひとつの恋愛を軸に語っているだけであって、恋愛というよりもむしろ、人生について考えさせられたからだ。

 あの時、ああしておけば良かったという後悔。
 言ってしまった後で取り返せないことに気づく言葉。
 ひとときの感情に流されて間違えてしまった道。
 あきらめという諦観に似た鈍感。
 一歩踏み出す勇気があれば、無かったかもしれない現在。
 忘れて捨て去った過去を大切にしていれば得られたかもしれない未来。

 今のあなたは誰に逢いたいですか。

おわり
 

 

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