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好きなことを仕事にした方が良いのか

好きなことを仕事にするつもりで就職活動する方が良いのか、仕事はお金を得る場と割り切って就職先を見つける方が良いのか。

仕事をしたことの無い学生にとって、仕事の内容や種類で自分に合った就職先を選ぶのは事実上不可能に近い。
いやいや仕事をしたことが無いなんてことはなくて沢山バイトしてますよ、と言うかもしれないが、それは仕事とは違う。それが仕事だったらあなたは既に就職しているはずではないか。

大学生になって、就職活動をして、会社に入って、仕事をする。
こんな流れ作業のようなレールが敷かれているように見えるのは、企業が優秀な学生を刈り取るために、そんなイメージを植え付けて来たからだ。
私達たちは小学生の頃から企業戦士になるべく育てられてきて、大学を卒業する頃にちょうど収穫時期を迎えるという訳だ。
企業に勤めるということに向かない人や嫌う人の一部は既にドロップアウトしているはずだ。ドロップアウトと言うと悪いことのようだが、企業に勤めるというベルトコンベアから飛び降りただけの話で、それ以外にも道があることに早くに気づいた人と言っても良い。

社会人になってやらなければならないのは仕事ではなくて、社会の役に立つことだ。社会の役に立つことをするから、そのお礼としてお金を貰える。
アルバイトは間接的に社会の役に立っているに違いないが、どちらかと言えば会社の役に立った分だけ時給を貰えると考えた方が良い。社会のためではなくて会社のために働くのがアルバイト。

アルバイト経験が多いからか、会社に入って給料を貰うことが仕事と思っている人が多すぎやしないか。
本当は物事の順番が逆で、「会社に入る」が先に来るのではない。
自分が社会の役に立つためにこんなことが出来ます。しかし自分一人でやるよりも企業に属してやった方がより多くの人の役に立つことが出来るのでこの企業に就職して、こういう能力や業務によって活躍したい。というのが、本来の順番だ。

とは言え、新卒ホヤホヤの人が社会に役立つ仕事の能力を持ち合わせているかと言うと、これはなかなか難しい。
だから、仕事の実務にはどんなものがあって、どうやってこなすのかといったことを実際にやりながら学ぶ場面が必要で、それには、どんな仕事でも良いので数年間やってみるというのが一番の早道だ。

ところで、先に挙げたレールの幻想をこれまで政府や産業界があまりにも執拗に植え付けて来たものだから、学生の頭は仕事をすることよりも就職することを希望するようになってしまっている。
さらには、企業側の人も我が社でずっと働いてくれると信じ切っていたりするので、「この会社で行われている仕事というものを覚えたので、他の会社に転職します」ということが会社や社会としてすんなり受け入れられない仕組みになってしまっているのが、ここ日本での問題。
つまり、企業人も仕事とは何かを見失っているというか見誤ってしまっているから、就職しても、いつまでたっても転職出来るようなスキルが身に付かない。

要するに、仕事仕事という割には、企業に勤めて「仕事」をしている人はあまりいないと思った方が良い。上の人に指示された作業をこなすことを仕事と思っている人が大半のような気がする。

だから転職先が見つかりにくいなんてことになる。
仕事が出来ますとアピールしても、それを聞いた転職候補企業の人たちが理解出来ないからだ。
転職先企業が求めるのは、従順に作業をこなす人だったりするので、仕事が出来ることは鬱陶しいというのもあるのかもしれない。

多くの企業が求めている人材は、①作業を効率よくこなせる人、②仕事をこなせる人、③仕事を作れる人、そして④仕事を大きく出来る人。
これらは同じ数だけ必要なのではない。①が一番多くて、④に掛けて人数的には少なくて良い。
大は小を兼ねるではないが、例えば③の人は①も兼ねることが出来るだろう。④の人は③も出来るだろう。
でも、①だけの能力の人は②以降にはなれない。
こんな理由で、企業の組織はピラミッドになっている。

さてさて、話が脱線しすぎた。
話は、好きなことを仕事にした方が良いのか、ということだったはずだ。

結論から言えば、好きだろうが好きでなかろうが関係ない。
そんな基準で選ぶものでもない。
好きが講じてこんな特殊な知識を持っていますとか、人には出来ないこんなことが出来ますというのであれば、結果として好きを仕事に出来ることになるだろう。
しかし、仕事として通用するような特殊技能を持っている学生はそんなにいるだろうか。つまり即戦力になる技能を持っているかということだ。

仕事はお金を得る場と割り切って就職先を見つけるのも、それはそれで構わないが、敢えて言えばそんなことはやめておいた方が良い。
あなたの能力をもっと社会に活かすべきだ。

就職先を探すのでもなく、企業を探すのでもなく、あなたが貢献出来る場や機会を探してはどうだろうか。
カタログを見て買い物をするかのように就職活動するのは、出来ることならやめておいた方が良い。
あなたにお勧めの職業、というレコメンドに従って就職活動するのは出来れば避けた方が良い。

せっかくの機会なので、スマホを脇に置いてじっくり考えてみるのも良いじゃないか。
企業へのエントリーシートを書く前に、社会への入口の前に立ったあなたの、新たなステージへのエントリーシートを書いてみてはどうだろうか。

おわり





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