見出し画像

私達の日常は何かと検索から始まる

 私達の日常は何かと検索から始まる。
 ひと昔前には想像すらできなかった世界だ。

 検索できるということは世界中の情報がサーバにあるということだ。検索精度が上がったということは情報量が増えた証でもある。検索そのものの仕組みが向上したことも貢献しているだろう。

 あなたが知りたい世界の情報はあなた以外の誰かの情報で、不特定多数の人に向けて発信することを目的に作られたものもあるが、特定のターゲットが想定された情報やプライベートな情報まで含まれている。
 検索から始まる世界では、情報が世界を作っていると言っても過言ではない。

 かつて情報化社会を目指せと言われた時にイメージされていた社会と現代の社会は恐らく大きく違う。当時は社会が情報化することを目指していたのだが、現在はまるで情報の中に社会があるかの如く、事態は反転してしまっている。

 さらにこの先は、メタバースによって社会の仮想化が進もうとしている。そう、メタバースというのは単にVRやネットワーク内に作られた仮想的世界のことではない。メタバースは私達が普段現実だと思っているこの社会を仮想化するものなのだ。

 そんな中、世界の大手IT企業各社の時価総額が下がっているという。ピークアウトしたかのようにも見える。単なる押し目であってこの先のさらなる飛躍を期待させるフェーズという可能性はある。
 けれど、世界が情報規制の法制度強化に動く中、この情報ドリブンな社会は早晩行き詰まるのかもしれない。十分な情報が無ければAIが活躍できる場も限られてくるし、情報が入っていないサーバにアクセスしても検索結果は得られない。

 もっと言えば、情報ドリブンの内実は広告ドリブンでな社会だ。婚約指輪やバレンタインに始まり私達の生活は知らずのうちに広告に支配されている。
 あなたの考え方や行動は広告によって操られている面が多い。そしてステマで分かるように広告はいろいろな形態であらゆるところに潜在している。ネット上でもそれは同じで、私達は広告と付き合わない限りもはや良質なサービスを無償では受けられない。
 情報が制限された世界では、広告がどこまで我々を制御できるかわからない。慣れ親しんだ生活が不便になるには違いない。

 巨大情報産業に支えられた世界がサステナブルではない事は膨大な電力が必要なことだけを見ても明らかだ。何事も永続するものはない。その次には何が来るのか。
 どれだけ掻き集めても情報は世界のすべてでは無く極一部でしかない。まして集めた情報を再構築してみたところで、そこに浮かび上がるのはリアルでは無く仮想世界だ。

 私達が検索結果から解き放たれてリアルを取り戻すために何をすればよいのか。そこに次の世界のヒントがあるかもしれない。

おわり

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?