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映画『カウントダウン』

 自分の命があとどれくらいなのか。
 よくよく考えてみると、どうしてそんなことが知りたくなるのか分からないが、知りたくはなる。
 そういう時に役立つのが「countdown」というスマホアプリだ。
 早速インストールしてみて、そこに表示された自分の余命が残り1日だったらあなたはどうするか。
 それが2019年に公開されたこの映画の舞台設定だ。

 毎日を充実して生きるコツとして、今日が人生最後の日だと思いなさいというのを聞いたことがある。
 しかし実際のところ、本当に残り1日しか無いと分かったら、充実して生きるどころではないことが、この映画を観れば分かる。
 あと1日しか無いのだからしっかり生きようなんて思う人はまずいない。
 どうして1日しか無いのか、どうやったらそれを回避出来るのか、1日後に一体何が起こるのか、いやいや冗談だろ、そんなの嘘だ。人によって反応は様々だろう。
 嘘だと信じない人だとしても、残り時間のカウントダウンがあと1時間になったら、流石に冷静ではいられないだろう。1時間後に起こりそうな危険なことから逃れるべく、安全な場所に隠れるとか、事故に遭遇する可能性がある乗り物には乗らないとか、何か行動を取ろうとするだろう。
 結局、余命があと1日なんて状態では何も出来ないのだ。

 正直言って私はホラー映画が苦手だ。
 特に独りで観るのはなるべくなら避けたい。
 だから、この映画を観ようと再生ボタンを押した時にはホラー映画とは知らなかった。だから、ヤバいどうしよう、となったのはホラー映画特有の瞬間的大音量つまり脅しの音響効果とともに登場人物の少女が惨殺された時だった。当然私は後ろを振り返った。もちろん後ろには誰もいなかった。
 観続けるかここで止めるか、ずっと迷いながらも、どうしてもカウントダウンの謎の正体が知りたくて最後まで観てしまった。
 背筋は凍りっぱなしだ。
 家の中の物音にも敏感になる。
 だから飼い猫が私の後ろで、椅子から床に降りた音だけで震え上がった。

 いつか死ぬ時に後悔しないようにカウントダウンの謎が知りたい方はこの映画を最後まで観ることをオススメする。
 余命に抗うことが出来るのか否か。
 それは誰が決めているのか。

 私はこんなアプリ、絶対にインストールしないと誓った。

おわり
 

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