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夢を見る

 最近、夢をよく見る。

 子供の頃は良く夢を見ていたが、大人になってからあまり夢を見なくなっていた。
 少々ややこしいことを言うと、夢を見るというのは見た夢を覚えているという事だから、目覚める直前によく夢を見ているという事だ。

 夢を見るのは脳が活動している時だから、目覚める時間と脳の活動がシンクロすることによって夢を覚えていられる条件が満たされて、夢を見た! と思えるのだろう。 
 脳が活動している時は身体が休息している時だから、夢を見ているその時に身体がぐっすり眠ったままの状態で不意に目覚めてしまったりすると、目が開いても身体が動かず、いわゆる金縛りになる。

 ということは、だ。
 最近夢を見るようになったということは、頭と身体がもうすぐ起きるぞというタイミングと私の起床時間が一致してきたということか。

 良く夢を見ていた子供の頃の事を思い出すと、時間的には十分に寝たはずなのに朝のまどろみの中でダラダラ、ゴロゴロとうたた寝を繰り返している時間帯が多かった気がしてくる。
 起きる前の眠りの浅い時間帯が長いほど夢を見やすくなるのかも知れない。

 今の私の睡眠時間を考えてみると、平均6時間弱だから長すぎるとは言えない。目覚ましとともに飛び起きるような状態だから、まどろみもへったくれも無い。

 ということは、だ。
 もしかして、心身が必要とする睡眠時間が短くなってきたということではないか。寝入ってから5時間ほどで頭も身体も動き出す準備を整えるまどろみの時間帯に突入していて、そのお陰で夢を見ているとすれば、夢が見られることを喜んではいられない。なぜなら、それは老化を示唆するからだ。

 年を取るとあまり寝なくていいんだよ、とお年寄りが言っていたのを聞いたことがある気がする。幾ら寝ても寝たりなかった学生時代には考えられなかったが、眠りたくても朝早くに目覚めてしまうとすれば嫌だなと思った記憶がある。今の自分がもしその領域に達しつつあるのだとすれば、このまま前には進まずに逆戻りしたくもある。

 でも、楽しい夢が見られるのだとしたら、それも悪くはないかもしれないと思い始めている。
 こうやって人は年を取ることを受け入れていくのだろう。

おわり
 

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